【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 695】高付加価値経営への処方箋〈2〉 青木康弘


 前回に引き続き、高付加価値化を目指してリニューアル工事したものの、客室単価や稼働率の向上が見られない場合の原因と解決策を紹介したい。

 (2)改装したのに口コミ評価が低い

 リニューアル工事を実施したにもかかわらず、口コミ評価が向上せず、逆に低下するケースがある。その背景には、ソフト面での対応不足、商品・サービスと価格のバランスの悪化、客層の変化などがある。

 リニューアルによって客室が見違えるほど奇麗になったものの、接客サービスや料理の質が従来のままだと口コミ評価の面では逆効果になる。お客さまの目には改装した客室と対照的な悪い部分が際立ち、全体の評価を下げる結果になる。

 特に、団体やツアー客を多く受け入れる施設では、料理の質に注意が必要だ。改装した客室のコンセプトやグレードに見合った質の高い個人客向け料理を提供することが、評価を高めるために必要である。もし、調理場を任せているスタッフに質の高い料理を開発するスキルがないようであれば、メニュー開発に精通した外部のアドバイザーの協力を得ることを検討したい。

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