前回に引き続き、現在の高収益を維持し、さらなる発展を目指すために取り組むべきことを紹介しよう。旅館・ホテル業界が、コロナ前の業績を超えて急回復しているのは大変喜ばしいことである。しかし、気の緩みは禁物である。一度成功を収めたからといって油断してはならず、新たな課題が突如として現れる可能性がある。
(3)民間主体で観光まちづくりを推進する
観光庁の高付加価値化事業などをきっかけに、各地で行政と観光業を営む民間企業が連携する機会が生まれた。精神論的には、地域が一体となってまちづくりを推進するという考え方に疑問の余地はない。しかし、関係者が直接連携を取り始めると、立場や考え方の違いからさまざまなコンフリクトが発生することが問題視されるようになった。
民間企業の立場からすると、国の支援制度に基づいて地域のにぎわいを取り戻し、企業収益の拡大を図ることは当然である。一方で、地方自治体は前例のない取り組みによる失敗の責任を恐れ、取り組むことによる成果よりも失敗時のリスクを過大評価する傾向がある。
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