前回に引き続き、観光まちづくりを推進していくために、民間の宿泊事業者がどのように取り組むべきかを説明しよう。観光コンテンツ作りには地域内の協力体制が不可欠だが、地域住民と行政、民間の関係性がうまくいっておらず、観光コンテンツ作りに苦戦している地域は少なくない。
民間主導の観光まちづくりを推進する主体として、組合、NPO法人、一般社団法人、株式会社が候補となる。組合とNPO法人の特徴は前回のコラムで説明したので、今回は一般社団法人と株式会社について説明する。
まず、一般社団法人についてである。一般社団法人は、NPO法人と同様にまちづくりの推進や観光の振興を目的として設立することが可能である。NPO法人とは異なり認証制ではないため、目的に制限がなく収益事業も自由に行うことができる。設立に必要な社員数は、NPO法人が10人(法人を含む)であるのに対して、2人で済むため、設立のハードルが低い。自由度が高い半面、社会的信用はNPO法人よりも低いとされている。また、利益の分配ができないため、安定した営利事業がないと財源に問題を抱えやすいことも課題である。税制上の優遇措置を受けるためには、非営利型法人として複数の要件を満たす必要がある。
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