【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 748】生成AIを活用した販売促進の進め方(1) 青木康弘


 旅館・ホテルの売り上げを伸ばすうえで、販売促進は非常に重要な要素である。中でも近年注目されているのが生成AIの活用である。これまで旅行会社や運用代行会社に販売促進を任せきりにしていた施設にとって、生成AIは、自社で販促を行うための新たな切り札となり得る。本コラムでは、マーケティングの専門知識がなくても実践できる、生成AIを活用した販売促進の進め方を紹介したい。

 最初のステップは、年間の販促カレンダーの作成である。祝日や地域イベントなどを週単位で整理し、自館の宿泊実績と照らし合わせて、繁忙期と閑散期の傾向を把握する。こうした基礎作業に生成AIを活用することで、過去データの整理や可視化を効率よく行うことが可能になる。たとえば、地域のイベント情報をAIに整理させたうえで、自社の宿泊データを読み込ませれば、季節ごとの需要傾向を簡単に把握することができる。

 宿泊プランの企画も、生成AIを使えばより手軽に進められる。たとえば、2025年は「昭和100年」にあたるが、このテーマを生かしてプランを考えたい場合は、「昭和100年を記念して、ホテルの割引プランを企画したい。割引率とその理由について、五つのアイデアを提案してください」と生成AIに依頼すればよい。さらに地域色を出したい場合には、「〇〇県〇〇市にちなんだ案を出してください」と続けて依頼すれば、地域の周年記念と組み合わせたプランを提案してくれる。

 リゾート型施設では、敷地内外のアクティビティを年齢層ごとに整理しておくと、販促の幅が広がる。この場面でも、生成AIに過去の予約傾向を分析させることで、どの年齢層にどのプログラムが響くのかを、定量的に予測することが可能である。

 媒体別のコンテンツ制作においても、生成AIは大きな力を発揮する。紙媒体であれば、チラシやリーフレットのドラフト作成を依頼でき、ネット媒体ではSNS投稿文やバナー広告の案出し、さらにはSEO対策まで担うことができる。とりわけInstagramやTikTokといったショート動画の領域では、生成AIによる動画構成案の作成や、トレンドワードの抽出によって、プロモーション効果を高めることが可能である。インフルエンサーとの連携においても、ターゲット層との親和性が高い候補者を、AIを活用して効率よく選定することができる。

(アルファコンサルティング代表取締役)


(観光経済新聞2025年4月7日号掲載コラム)

 
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