前回に引き続き、旅館・ホテルの現場ですぐに実践できる問題解決スキルについて分かりやすく説明しよう。前例と勘に頼って安易に解決を図ろうとせず、業務効率や顧客満足度、売上利益を低下させている原因を見抜き、最適な解決策を考える能力を現場スタッフに身につけさせよう。
8、分析材料を集めるためのツールを導入する
問題解決力を高めるためには、分析するための根拠データがそろっていることが前提となる。最近では安価な投資で情報収集のためのツールを導入できるので検討してみよう。
まず、整備したいのがホテルシステム(PMS)である。
手書きや古いシステムを使用していると、分析に必要なデータを入手することができない。最近では、安価なクラウド型が主流となっているので、中小規模の旅館・ホテルでも導入しやすいだろう。
また、売店や別注料理・飲料の分析をしやすくするためにもPOSやハンディターミナルの導入をお勧めする。自動釣銭機も同時に導入すれば、現金管理の効率化やスタッフの不正防止も同時に実現することが可能だ。
次に、整備したいのが電子式タイムカードである。打刻式のタイムカードは導入コストは安価だが、労働時間や残業時間をリアルタイムに把握することができず、人員配置や人件費の分析に必要なデータが入手できない。
最近は、タブレットを打刻機として利用するクラウド型のタイムカードが増えてきており、安価に導入することが可能だ。
余力があれば、自社サイトのデータ分析を自前で行うことも挑戦したい。最近では、自社サイトをどのように改善すれば良いかアドバイスしてくれるAI機能を実装した分析ツールも増えてきている。無料から月10万円程度で導入可能だ。デザインやコーディングは外注するにしても、コンテンツマーケティングやSEO対策は自社である程度できるようになった方がよいだろう。
いずれのツールも多少の経費負担は必要となるが、使いこなせればスタッフの問題解決力を高めることができるだろう。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)