中国最大手OTAのシートリップは6日、同社が運営する旅行サイトTrip.comで発生し、社会問題化している「架空宿泊在庫販売問題」について、自社の責任を明確に否定する声明を発表した。
声明の中で同社は、問題の行為は「一部の悪質な販売業者によるもの」であり、「悪質な販売を続ける業者に対しては随時摘発し、永久取引停止の処置を行っていく」と強調した。
Trip.comによる「架空宿泊在庫販売」は、旅館ホテル関係者の間では数カ月前から問題視されていたが、旅行専門ウェブメディアのトライシーが12月1日に公開した記事「【スクープ】”存在しない部屋”を販売する海外大手宿泊サイトのカラクリ 年末年始に「部屋なし」問題大量発生も懸念」により一気に表面化。インターネット上で拡散が進んだ結果、日本テレビも6日の朝番組「スッキリ」で大きく取り上げた。同番組には、熱海、三重、岡山の旅館経営者が出演。Trip.comによる「架空宿泊在庫販売」の状況や、旅行者が被る可能性のある不利益などについて率直に語った。
事態を重く見た全旅連(全国旅館生活衛生同業組合連合会)青年部と日本旅館協会は、シートリップジャパンの責任者を東京都千代田区平河町の全国旅館会館に呼び、18日に共同ヒアリングを行う。
シートリップが本日発表した声明文は次の通り。
一部メディアでの報道について
この度、一部のメディアにおいて弊社が運営する旅行予約サイト「Trip.com」に、既に満室となっている旅館やホテル等の部屋を「空室」として掲載し、予約受付を行っている(以下「空販売」という)という報道がございました。また、リクエスト予約した部屋が満室でリクエストが取り消しとなった場合にもキャンセル料金が 100%発生する(以下「リクエスト取り消し時のキャンセル料金」)との記載もありました。当サイトをご利用いただいているお客様、お取引先各社様、並びに関係各所の皆さま方には多大なるご心配とご迷惑をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今回の報道を受け、社内調査を行った結果、「空販売」に関しましては、一部の悪質な販売業者によるものと判明いたしました。一方で「リクエスト取り消し時のキャンセル料金」に関しましては、予約時にお客様からお預かりするものはデポジットとしてであり、予約が確保できなかった場合や回答待ちのお客様が予約確定前に取り消しされた場合は全額返金しており、当該報道は事実とは異なるものとなっております。弊社は、ユーザーに少しでも多くの宿泊プラン(部屋)をより安価に提供していきたいという想いから、弊社が宿泊施設から直接空室を仕入れて販売するほか、空室を抱えている販売業者から仕入れた枠を販売するプラットフォーム型のビジネスを展開しています。このビジネスモデルは、OTA(オンライントラベルエージェンシー)業界では一般的なものです。
現在弊社では、同様の事案の過去発生状況、対象となる販売業者の詳細等に関し、調査を進めております。今回問題が発生した販売業者を含め、「空室」と間違って表示されている部屋に関しては順次削除しております。悪質な販売を続ける業者に対しては随時摘発し、永久取引停止の処置を行っていく所存です。また、今後もお客様に不利益を与えるような利用をされないよう、運用規定や契約会社についても確認・精査し、的確な仕組みの整備を進めております。
お客様に対しましては日本語対応可能なカスタマーサポートセンターにて対応を行い、宿泊施設関係者の皆様には対象施設への訪問や各地で行っている説明会等で直接説明させていただく予定です。
弊社では今後も皆様に安心してご利用いただけるよう、サービスの向上に尽力してまいります。
カスタマーサポートセンター
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