総務省が発表した国勢調査によれば、日本人の4人に1人が65歳以上の高齢者だという。また、60歳以上の人たちの年間消費総額は100兆円規模で、これから先も毎年1兆円ずつ増えていくことが予測されているとか。
旅館・ホテル業界でも、特にシニア層の消費規模は大きく、そのマーケットをどのように取り込んでいくのかが変わらないテーマだと思う。
一部の旅行エージェントでは紙媒体による販促ツールだけでなく、デジタルコミュニケーションも併用。客層は60~70歳がボリュームゾーンにもかかわらず、申し込み総数の3割がオンライン決済を利用しているとか。デジタルが苦手と思われるシニアがスマホなどのデバイスをもう当たり前に利用していることが分かる。確かに新幹線や通勤電車の中でも、ゲームに勤しんでいる多くのシニアたちに出会う。10代の若者たちがスマホで利用するコンテンツは動画で、1日平均約80分間視聴しているというが、どうしてシニアもその域に近づいているのではないか。
シニアによるSNSへの投稿も増え続けている。特に50代と60代は静止画への投稿が多い。掌の中のスマホに親しみながら思うがままに情報発信を繰り返す。それが日常になっている気がする。
旅館・ホテルのサイトも、レスポンシブルウェブデザインによってデバイスの画面幅に対応する情報発信が当たり前になり、特にスマホからの宿泊予約が増加し続けている。シニアを惹きつけるためには、スマホ上でもやはり何らかの策を講じていかなければならないはずである。
宿の方々とウェブサイトについてのやりとりの中で、CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)を採用するべきかどうか相談を受けることが多いが、ネット社会に対応していくためには新しいツールはどんどん採用したほうが良いと答えている。数年もしないうちにそれが当たり前になっているのがネット社会だからだ。例えばメールマーケティング。もはやメールを受け取るデバイスの中心がスマホになっているだけに、ECという観点からの情報発信は必要だと思う。届くメールを全く読まないという人はいないはずである。サイト内容とメールの役割は異なるもの。スマホの向こうのシニアが「読みたい」と思うようなメールを熟慮して形づくって、成功している宿もある。メールのクリエイティブでお薦めしているのはHTMLメールだ。視覚的に訴えることができ、宿の施設やサービスの素晴らしい内容が届くはずだ。