【道標 経営のヒント 215】ネット上での誹謗中傷3 タグ広告プランナー 宮坂登


 引き続いてネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策について。前回、ある有名旅館の宿の検索サジェスト機能に「ブラック」というネガティブワードが現れるようになった宿のことを紹介した。担当者によると、そのような誹謗中傷を受ける理由が思い当たらず、以前勤務していたスタッフによるものではないかという。宿に限らず、以前の勤務先についてあれこれと誹謗中傷するケースは実に多い。

 SNS全盛時代。新卒者など、リクルーティングの際の人物評定に臨んで、その人間がSNSで過去にどんな情報を発信してきたのかを詳細に調査する大手企業があることをご存じだろうか。その本人だけではなく、その家族なども含めてである。頻繁にマイナス情報を発信していることが分かれば、入社するに値しないと判断される。フェイスブックなどでネガティブな情報を発信しているという行為は入社後にあってはならないという理由から、企業にとっては未然の防止策でもある。どんな理由で入社できなかったのかは本人には通達されることはない。ネットの世界では、もうそこまで調べることができるのである。

 誹謗中傷されてしまった場合、どのように対処するべきか。ネット検索すると「ネット上の書き込みを削除する」「消すことができる」と打ち出しているさまざまなIT関連企業が多く存在する。しかし、そのほとんどが違法行為であることを認識してほしい。

 ネット上の誹謗中傷記事を完全に消すには弁護士に依頼する、それ以外に方法はない。弁護士に成り代わってそうした法律業務を取り扱う行為を「非弁活動」というが、弁護士法で禁止されている。さらに、ネット上のネガティブな書き込みの削除を弁護士に依頼しながら、その中間マージンを得ようとする行為も同じく違法である。

 他人のIDやパスワードなどを利用してアクセスが制御されているコンピュータを不正に利用する行為は「なりすまし行為」であり、懲役または罰金刑となる。そのIDやパスワードを承諾なしに第三者に提供したり、不正に保管する、請求することも違法である。

 手口としてよく見られるのが、検索エンジンに表示されている「サジェスト」「検索関連ワード」の削除業務に際して、「削除できるワードと削除できないワードに分かれており、技術的な削除方法にて作業を行います」などと説明があるケース。これらはほとんどが「不正アクセス禁止に関する法律」に抵触している。非弁行為を行う悪徳業者は「合法」を語って近づいてくる。決してそれにだまされてはいけない。

 
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