ロサンゼルスの広告会社に勤めるメキシコの友人からメールが届いた。何年も連絡が途絶えていたが、実に勇気づけられるメッセージだった。メールを返信するより彼の声が聞きたくなり、思わず電話をしたらリモートで会話しようということになった。
どの国もコロナ禍。ロサンゼルスでもワクチン接種は進んでいるが日常は戻らず、絶対的な仕事量が少なくなったため、一念発起した彼は環境コンサルタントになるための勉強を始めたという。アメリカの西海岸では毎年、山火事など環境的な災害に見舞われることから、自分の夢を追い求めるよりも環境など社会に役立つことに目を向けるようになったそうである。
どんな企業も今後はSDGsへの取り組みが必須で、そこでポイントを稼がないと金融機関からの融資も受けられなくなっている。彼が担当するクライアント企業もSDGsへの取り組みに頭を悩めていて、役員たちから意見を求められることも環境コンサルタントを目指す理由になったという。彼の仕事も広告ではなく、いつの間にかそのクライアントが生き残っていくための提案へとシフトしていると聞いた。幸いなことに彼は大学で生物学などを学んでいたことから、全米各地の環境団体に友人も多く、さまざまなアドバイスがもらえる立場だという。
SDGsといってもどの項目も長期的な展望を要する。10年後あるいは20年後を見据えた提案でなければならない。クライアントが現実に抱えている問題を見つけ出して分析し、各種のデータを集めて調査や解析をしながら、その問題解決へと導かなければならない。専門的な仕事内容ではあるが、広告提案するための作業とどことなく似ている。
では、自分に彼のようなまねができるのかなどと考えていたところ、この1週間ほどの豪雨被害である。行ったことのある街や記事で紹介した街が水没している。昨年の豪雨被害から何とか立ち直った街が、またも大きな被害を受けている。自然には逆らえないと分かりきっているが、何をどう言ったらいいか、何が提案できるのか…。被災で苦しむ宿の方々もいらっしゃると思う。お見舞いの気持ちだけはお伝えしたい。
環境面ではないが、SDGsにつながるいくつかの案件に取り組んでいる。一つが医療系で、現在、クライアントとともに中小企業庁の「事業再構築補助金」申請のための事業戦略を構築中だ。非常に気を使うが、その向こうに社会貢献という大きな実のなる仕事である。友人に負けじと取り組んでいる。