【震災から9年】これまでとこれからの県旅組の取り組み 岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長 佐藤 康氏


佐藤 康理事長

特色ある宿づくりを支援

 まもなく、震災から9年が経過する。発災当時の組合員328施設中94施設に建物被害が発生し、沿岸地区においては壊滅的な状況であった。そのような状況にも関わらず内陸の多くの施設が2次避難所として宿を提供、全国から応援に駆け付けた警察やボランティアの受入先としても進んで宿を提供した。

 翌年あたりから徐々に復興に向けた動きが加速してきたが、原発事故の発生に係る風評被害が広がり、国内外からの観光に深刻な影響を及ぼした。また、直接被災地からの人口流出に歯止めがかからず、県内の宿泊施設では労働力人口の不足が問題となっていった。

 そのような状況下でも青年部を中心に誘客に向けた取り組みも地道に行われ成果を上げた。

 岩手県の事業でも平成28年の希望郷いわて国体、令和元年のラグビーワールドカップ2019釜石開催、三陸鉄道リアス線の南北一貫運行、三陸防災復興プロジェクト2019など、組合一丸となって観光推進に努めた。

 さらには公益財団法人岩手県生活衛生営業指導センター事業として「復興支援ガイドブック」を発刊し、その中に掲載された異業種間コラボでも沿岸地区の組合員応援の一助となった。

 半面、近年毎年のように猛威を振るう自然災害により、県内各地に多くの爪痕を残す災害が発災し対応に追われている。また、先日来世界を震撼させた新型コロナウイルスは、現在のところ打つ手がなく先の見えない不安に駆られるが、全旅連の指導の下、衛生面に細心の注意を払い、まずはお客さまの安全確保に努めたい。

 震災から9年たった現在でも岩手県組合会員の置かれた環境は依然厳しいものではあるが、地域や個性を生かした特色のある宿作りをサポートできるように積極的に取り組みたい。

(湯守 ホテル大観)

佐藤 康理事長

 
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