鹿児島県指宿温泉の指宿白水館(下竹原啓高社長)は、錦江湾を望む広大な敷地に「薩摩客殿」「花の棟」「磯客殿」「離宮」という四つの客室棟を展開。大型旅館ながら、落ち着いた和の情緒ときめ細かいサービスには定評がある。
ここ白水館では、指宿名物「砂むし温泉」が楽しめる。江戸の元禄時代から伝わるこの入浴法は、温泉の熱で暖まった浜辺の砂に浴衣のまま寝そべり、頭以外を砂で覆って発汗を促す。砂の熱と温泉の成分で全身の血行が良くなり、新陳代謝が高まるので、体中に溜まった老廃物が汗と一緒に流れ出る。入浴中は大量の汗をかくことから美容効果も高いと女性客に評判だ。
メイン浴場の「元禄風呂」は、銭湯が江戸時代の社交場であった元禄時代をイメージした華やかなつくり。大浴場「浮世風呂」「花魁(おいらん)風呂」、蒸し風呂「江戸石榴(ざくろ)風呂」、黒鉛鉱石を使った「樽(たる)風呂」など、江戸時代の趣きあふれる浴槽が並んでいる。
浴場施設のもう一つの売りは、北海道の黒い天然鉱石「神黒石」を使った岩盤浴処「ストーンエステ」だ。石の上に横たわれば、石の遠赤外線効果やマイナスイオンで体が芯から暖まって、発汗作用が自然と高まってくる。
このほか高台から望む景色が素晴らしい開放感あふれる露天風呂、広々とした豊松庭を望む大展望風呂「松雲風呂」と、1日では入りきれないほど設備が充実している。
料理も定評がある同館。献立は毎月変わり、豊かな土壌と海の恵みを受けた、鹿児島の旬の味覚が食膳に並ぶ。食事会場では「焼酎王国鹿児島」の各種銘柄を取りそろえている。
薩摩伝承館は同館創業者と現在の館主が長年にわたり収集した約3千点の美術品、工芸品を展示する美術館。「ここに来れば薩摩の全てが分かる」という必見の場所だ。
▽鹿児島県指宿市東方12126の12。TEL0993(22)3131。http://www.hakusuikan.co.jp/
砂むし温泉
元禄風呂