【食と観光 訪日客4000万人時代の和食 12】食文化の発展と観光誘致における認証制度のあり方 長谷晴義


 日本食と言えば、寿司、天ぷら、すき焼きなど、海外でもそのままの言葉で通じるほど、誰もが知るに及ぶ料理が挙げられる。

 近年、外国人の訪日目的の一つに「おいしい日本食を食べてみたい」「本物の日本食を食べたい」という声を多く聞くようになった。

 農林水産省は、海外で提供される“日本食”について認証制度を策定するとしているが、この制度の意図していることは何だろうか。

 “本物の”日本食と“本物でない”日本食の定義はどこにあるのだろう。日本食が海外に広まれば日本食を食べた人が興味を持ち、日本に行ってみたいと思う人が増え、結果として日本食の普及につながる。

 例として、「たらこスパゲティ」はイタリア料理ではないし、「カレーライス」も日本人が食べやすいようにアレンジした料理である。それぞれの風土や環境に応じ、食の好みは違う。その国、それぞれの文化で発展していくことは、止められないことであり、すそ野が広がることになるのではないか。

 日本人でさえ、中国料理と中華料理の区別がつかない人もたくさんいて、それを止めようとする人もいない。日本の良さはもっとたくさんあるし、素材の良さを保つ活け締めなどの技術で言えば、日本人は世界で一番だと思う。

 訪日外国人の増加に伴い、着手すべきことは他にたくさんあるのではないだろうか。より一層、日本を楽しめる環境を作り、提供することこそ急務ではないかと考える。

 (国際観光日本レストラン協会監事 八芳園社長、長谷晴義)

 
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