【食と観光 訪日客4000万人時代の和食 13】Itadaki masu と Gochiso sama deshita 住吉史彦


 Itadaki masu! とGochiso sama deshita! を世界語にしたいものだと思う。「いただく」とは一体何をいただくのか、「馳走(ちそう)」とはどういう行為のことなのか、それを知った上で外人さんがGochiso sama deshita! と言ってくれたら嬉しい。そこまでできて、ようやく「和食の世界化」だと思う。

 SukiyakiとかSushiとか、ただ料理名を知って食べているだけでは文化度はイマイチ。なぜならこの2語こそが食に対する、日本人の思想を象徴しているからだ。ぜひ「世界化」させたい。

 その方法だが、この件に政府の旗振りとかはもちろん不要。いまだ「思いつき段階」だが、ここで披露すると、(1)まずネット上にハンコ集めをするためのテンプレートを掲示する→(2)そのテンプレートを、日本を訪れる外人さんに紙(できれば和紙)に印出してもらう→(3)外人さんはその紙を持って日本の料理屋や旅館を訪ねる→(4)外人さんが食前にItadaki masu! 食後にGochiso sama deshita! と唱えるのを確認したら、料理屋さんは(2)で印出された紙に、自分の店のハンコを押す→(5)外人さんはこうして日本旅行中にハンコを集め、美しいハンコに出会った時は画像を撮ってネット上に自慢する。

 老舗の料理屋さんのハンコは立派なことが多いから、自慢できる画像が撮れると思う。もちろんテンプレートにはItadaki masu! とGochiso sama deshita! の意味を掲載して学んでもらう。

 Itadaki masu! とGochiso sama deshita! を広めるついでにハンコと和紙を広められたらいいなあと思っている。

 実は、国際観光日本レストラン協会の食育企画「親子体験」に参加してみて分かったのだが、日本の今時の若い親御さんの中には「いただきます」「ごちそうさま」の意味をご存じない方が多い。「観光経済新聞」の読者の皆さんなら、ご存知なのだろうが、インバウンドの外人さんが好んで訪れるC級店、D級店のスタッフとなると、そういう次第で、かなり心もとないのが現状と思われる。だからこそ、むしろ外人さん経由で意味を日本人に教えるのだ。

 トリッキーな策に見えるかもしれないが、実効性はあると考える。どうでしょう、この思いつき? Itadaki masu! とGochiso sama deshita! を20年までに世界語にしようじゃないか!

(国際観光日本レストラン協会理事 ちんや、住吉史彦)

 
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