日本には春夏秋冬と四季があります。季節が移り変わるということは、ともすればマンネリになりがちな私たちの生活に潤いや感動や刺激を与えてくれます。
日本料理は、その四季のある日本の風土と日本人の美意識から生まれたハレの日の料理です。素材本来の味を生かし、「走り」「旬」「名残」が献立の中に組み込まれます。「走り」はいち早く市場に並んだ初物のこと、「旬」はまさに今が一番おいしい食材のこと、「名残」はもう来年まで食べられない、名残おしい気持ちで食するものです。
また、日本料理は目で食べるとも申します。器にも季節によって質感の違う器を組み合わせて、夏涼しく、冬暖かくと、心配りされています。これは、日本人ならではのおもてなしの感性の表れではないでしょうか。
そして、このような繊細な料理を2本の箸で食します。日本人はお箸の国の人、生まれてお食い初めの祝いから一生お箸のお世話になります。お箸の扱いは、今では外国人ビジネスマンにはステータスになっているようです。
日本料理はお椀とお造りがメインディッシュです。海外の方に日本独特の鰹と昆布でとったダシのお椀を三手の扱をして優雅に食べていただけたら、なんと素敵なことでしょう。ただ、自由に食べていただくだけでなく、日本の食事作法を体験し、その心を知っていただくことを楽しい会話の中に取り入れて、おもてなしすることも大切なことではないでしょうか。
おもてなしは、礼に始まり礼に終わる日本の心です。まずあいさつ、そして清潔さと身だしなみは武士道や茶道から来ている日本の文化です。日本人ならではのきめ細やかなおもてなしが、相手に伝わるよう努めたいものです。そのためには、「準備8割、気づき2割」と申します。
今一度、原点に立ち返り、身を引き締めておもてなししたいと思います。
(国際観光日本レストラン協会理事 銀座朝川、伊藤朝子)