観光経済新聞社は、47都道府県の観光担当部課を対象に、2020年度当初予算の観光予算額についてアンケート調査を実施した。地方ブロックごとに回答結果を紹介する企画の3回目では、関東、九州、沖縄の16都県を掲載する。20年度当初予算の観光予算額は、16都県のうち10都県が前年度額を上回った。当初予算のほか、新型コロナウイルス感染症への対策に関する観光関連の補正予算についても聞いた。
20年度当初予算の観光予算額は、各自治体の観光担当部課に計上した予算額について回答を求めた結果。国の補助金などを充てた事業の予算額は含めたが、職員給与費は除外して回答してもらった。調査票は6月に発送し、6月末までを回答の期限としたが、補正予算の審議などの関係で期限を延ばした自治体もある。
観光予算は自治体によって、観光担当部課に計上する事業の性格に違いがあるほか、組織再編、大型施設整備などを考慮する必要があり、都道府県間の比較、前年度との比較などには注意が必要だ。また、20年度は新型コロナウイルスの影響で、当初予算の観光予算額が補正などで変更される可能性があることも考慮する必要がある。
自治体別の各表のうち「予算額上位」の項目は、当初予算の観光予算額の中で金額の大きい上位五つの事業についての回答結果。「分野別主要事業」の項目では、日本人国内旅行誘客促進▽インバウンド（訪日外国人旅行）誘客促進▽観光資源発掘・磨き上げ、受け入れ態勢整備▽観光産業の振興、人材育成、ＤＭＯ推進―の4分野について主要な事業を聞いた。
「新型コロナウイルス対策の主要観光関係事業」は、新型コロナウイルス感染症対策として、補正予算などに計上した観光振興、観光産業に関係する事業について回答してもらった。
【関東】茨城県＝県内宿泊促進事業（6月補正／県内宿泊事業者を対象とした宿泊料金の割引相当額の支援により観光需要を喚起）▽栃木県＝県民一家族一旅行推進事業費（6月＜1＞補正／県民の県内宿泊旅行の料金割引を実施）▽群馬県＝愛郷ぐんまプロジェクト（6月補正／県民の県内宿泊旅行の料金割引などを実施）▽千葉県＝「ディスカバー千葉」宿泊者優待キャンペーン事業（6月補正／県内宿泊施設に宿泊した場合、抽選で1人当たり5千円分の割引、もしくはキャッシュバックが受けられるキャンペーンを実施）▽東京都＝宿泊施設非接触型サービス等導入支援事業（6月補正／都内宿泊施設の感染防止に向けた取り組みを支援するため、専門家の派遣や施設整備などにかかる経費を助成）▽神奈川県＝「地元かながわ再発見」推進事業（6月補正／県民限定で県内旅行の費用を支援）▽山梨県＝県内観光産業反転攻勢支援事業費（6月補正／ＧｏＴｏトラベルと連携し、付加価値の高い滞在型旅行商品の販売を通じて誘客を促進）
【九州・沖縄】福岡県＝九州在住者を対象とした「福岡の魅力再発見」キャンペーンの実施（6月補正／県内の宿泊施設の宿泊料金割引、県内を周遊する旅行商品の割引の支援など）▽佐賀県＝新型コロナウイルス感染症観光需要緊急対策事業（6月補正／新たな観光スタイルによるイベント開催や誘客対策など）▽長崎県＝“ふるさと再発見”誘客対策事業（5月補正など／県内宿泊旅行に対する助成）▽熊本県＝観光拠点支援事業（6月補正／宿泊施設の感染防止対策などを支援）▽大分県＝おんせん県誘客回復推進事業（6月補正／九州、中四国、関西を中心とした情報発信と、旅行業者と連携した割引商品の造成などを支援）▽宮崎県＝宿泊事業者誘客準備支援事業（4月補正／宿泊事業者が行う安全・安心の確保など受け入れ環境整備への支援や、県民旅行応援キャンペーンを実施）▽鹿児島県＝ディスカバー鹿児島キャンペーン（6月補正／県民に県内観光を促す宿泊助成などを行うとともに、国の経済対策に合わせた誘客を促進）▽沖縄県＝おきなわ彩発見キャンペーン事業（6月補正／旅行商品代金に補助を行い、県民の県内旅行需要を喚起）
