観光産業は「人」が大切
「非デジタル」も含めたXを
――三井不動産グループにおけるホテルビジネスのポートフォリオ構成はいまどのようになっているか。
三井不動産ホテルマネジメントは三井不動産から建物を賃借し、運営をしている。当社はアセット(資産)を持たず、ホテル運営に特化している。
当社は、主要大都市、政令指定都市を中心に宿泊主体型カテゴリー3ブランド(三井ガーデンホテルズ、ザ セレスティンホテルズ、seaquence〈シークエンス〉)で国内38ホテルを営業している。
シークエンスは渋谷、京都五条、水道橋で展開しているが、チェックインやルームキーに顔認証を導入するなど最新のDXホテルとなっている。
三井不動産グループのホテル事業ポートフォリオとしては、他にリゾート型のハレクラニ沖縄やHOTEL THE MITSUI KYOTO、外資系ホテルブランドとの協業によるアマネムやフォーシーズンズホテル東京大手町、23年4月に開業予定のブルガリホテル東京といったラインアップがある。これらは国内外の富裕層をターゲットとしたフルスペック(総合型)ホテルだ。
さまざまなゲストに訴求するカテゴリーを用意することで、三井不動産本体のホテル・リゾート事業のウイングを広げている。
その中で当社の宿泊主体型ホテルの展開は、さまざまなイベントリスクに耐性のあるビジネスモデルを目指している。イベントリスクには、リーマンショックのような経済的なもの、東日本大震災のような自然災害などがある。
――都市型ホテルと地方型ホテルに対する投資とマネジメントのポイントをどう捉えているか。
当社としては宿泊主体型ホテルとして高いホスピタリティを維持しながらも効率的な運営モデルを志向してきたが、今回のコロナ禍で、顧客のホテル利用の目的が単に「宿泊」だけでなく、「憩い」「リフレッシュ」「ワーケーション」「長期滞在」など多様化していることが分かった。
都市型、地方型にかかわらずそのエリアのニーズに見合ったホテルサービスをチェーンメリットやグループメリットを十分活用し、提供していくことが求められる。
一方でホテル運営の現場の担い手であるスタッフの確保が今後も重要な要素と考えている。
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