【2023新春 ホテルグループトップインタビュー】共立メンテナンス 代表取締役社長 中村幸治氏


共立メンテナンス 代表取締役社長 中村幸治氏

観光業は皆を笑顔にする仕事

人材開発の視点で海外進出

 ――多岐にわたるビジネスを展開されている中で、ホテルビジネスは、ポートフォリオ上はどのような位置付けなのか。

 当社の設立は1979年。食の世界に長く携わった創業者の石塚晴久が企業の給食施設の受託運営を始めた。1980年に学生寮「ドーミー」第1号を開始し、1985年には社会人寮「ドーミー」第1号をスタート。当時、企業にとって自社寮が当たり前だった時代に「1室から借りられる」「朝夕2食付き」というサービスを提供した。

 ホテル事業の開始は1993年だ。リゾートホテル事業を7月、ビジネスホテル(ドーミーイン)事業を8月に始めた。リゾートホテル事業では、当時企業が福利厚生施設を手放す中、施設をそのまま利活用するという目的で、「食」と「住」と「癒」というサービスを「1室」から提供する共立リゾートの第1歩として「ドーミーヴィラ軽井沢」を開業した。

 ビジネスホテル事業では、社会人寮「ドーミー」をご利用いただいている企業からの「社員の出張長期滞在の際、快適に過ごせる社員寮のようなホテルがあれば良いのにな」という声に応えて「ドーミーイン」が誕生。ビジネスホテルに「大浴場」という革新的なサービスを持ち込んだ。第1号は埼玉県の「ドーミーイン谷塚」だ。

 新築リゾートの第1号は2004年の「ザ・ビーチタワー沖縄」。関東・伊豆地区で既存の宿泊施設を利用しながら培ってきた「癒やしのリゾート」に対する思いを新築物件に込めた。当時、沖縄になかった「高さ=素晴らしい眺め」という視点を採り入れ、「ラビスタ(=眺望)シリーズ」の原型ともなった。2020年には「湯めぐりの宿」第1号店として「湯めぐりの宿 修善寺温泉 桂川」を開業した。

 現在のビジネスポートフォリオは、寮事業513カ所、ドーミーイン事業88カ所、リゾート事業38カ所、シニアライフ事業11カ所となっている。

 

 ――売り上げの構成はどのようになっているか。

 コロナ前の数字にはなるが、全体で1700億円。そのうち、二つの主要事業については、寮が500億円、ホテルが780億円で、利益は両事業とも同水準といったところだ。安定的な収益基盤の寮事業と、成長市場への収益ドライバーとしてのホテル事業。これが両輪となっている。この収益構成でなかったらコロナ禍でもっと深いダメージを受けていただろう。

 元々は寮事業の会社で、ホテル展開は「ホテル業認可を取った社員寮」から始まっている。寮だと年間契約しか取れないが、ホテルなら契約期間が自由になる。100部屋の社員寮なら住む人は年間100人で変わらない。100部屋の寮のホテル認可を取り、ホテルとして運用した場合、稼働率が70%ならその部屋に2万人近くが接触することになる。「いまお泊まりいただいている部屋がお気に召すようであれば、同じ仕様の寮があります」というのが当社のホテル事業の始まりだ。

 

 ――2015年にビジネスホテル海外1号店「ドーミーインPREMIUMカロスキル」を韓国に出店したが。

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