「安全」をどこまで担保できるか
改正旅館業法が施行された。ポイントは大きく分けて二つ。迷惑客の宿泊を断れること。そして特定感染症の感染防止対策を顧客らに要請できることだ。
従来の旅館業法は、宿泊を拒否できるケースとして(1)宿泊しようとする者が、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき(2)宿泊しようとする者が、とばく、その他の違法行為、または風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき(3)宿泊施設に余裕がないとき。その他、都道府県が条例で定める事由があるとき―に限られていた。今回、(1)について、「宿泊しようとする者が、特定感染症の患者等であるとき」と、従来の曖昧な表現を改めた。
さらに今回、四つ目のケースとして「宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であって、他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき」を追加した。要約すると、「迷惑行為を繰り返す客の宿泊を断れるようになった」。省令で定める迷惑行為(特定要求行為)は「宿泊料の減額」と「粗野または乱暴な言動、その他の従業者の心身に負担を与える言動」。厚生労働省はこれらの行動の具体例を指針で示している。
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