多種多様な館内施設と芸術鑑賞
水明館(岐阜県・下呂温泉)は、2023年度の「人気温泉旅館ホテル250選」の施設部門で2位に選ばれた。下呂温泉は、有馬・草津に並ぶ日本三名泉の一つと称され、その歴史は10世紀頃の延喜年間にまでさかのぼる。昭和7年に開業した同館は、能舞台やコンベンションホールを有する最高層の「臨川閣」、展望大浴場やエステ、バーなど幅広い施設が入る「飛泉閣」、室内温泉プールやアスレチックジムが完備された「山水閣」、茶室「水幸庵」がたたずむ「青嵐荘」の4館を擁しており、さまざまな楽しみ方ができるのが特徴だ。
昨年12月には、山水閣1階の特別室3部屋をリニューアルした。広縁には「飛騨の匠」と名高い飛騨家具を採用し、飛騨ならではの木のぬくもりを感じることができるほか、部屋から見える日本庭園は1枚の絵画のような美しさで、四季折々の景色を楽しめる。特別室は、和室と和洋室の全3部屋で、2~5人のグループで宿泊することが可能。
水明館が誇るのは客室だけではない。臨川閣の1・2階には芸術作品を多数展示しており、夕方5時から無料で館内展示物を解説して回るツアーを実施している。画廊「大観の間」や和風ラウンジなどでさまざまな絵画を楽しめるほか、人間国宝の陶芸家・加藤卓男氏によるタイル壁画や、観世流能楽師・関根祥六氏監修の本格能舞台は特に印象的。凛とした空気が漂い、夢幻の世界が広がる。源泉かけ流しの天然温泉や料理だけでなく、日本庭園や茶室、そしてさまざまな芸術作品を滞在中に鑑賞できるのは、水明館の最も魅力的な点といってよいだろう。
リニューアルした特別室
館内ツアーの様子