
乳白色の湯が湧く混浴露天風呂
秘湯の宿、味しみる山の芋鍋
鶴の湯温泉は、2023年度人気温泉旅館ホテル250選の投票理由で、「雰囲気」11位、「温泉・浴場」17位、「料理」29位となった。日本の原風景を守り伝える秘湯の宿で、山の宿らしい情緒や露天風呂が人気となっているほか、山の幸を生かした料理も好評価を得ている。
乳頭温泉郷の7軒の宿のうち最も歴史があり、かやぶき屋根の「本陣」は、寛永15(1638)年に2代目秋田藩主、佐竹義隆公が湯治に訪れた際に警護の者が詰めた建物といわれる。一般客の湯宿としての記録も元禄時代から残されている。
乳頭山麓のブナの森に立地し、半径50メートル以内に白湯、黒湯、中の湯、滝の湯と泉質の異なる源泉がある。数ある風呂の中で鶴の湯温泉を象徴するのが混浴露天風呂。底から湧き出す、ほのかに青みがかった乳白色の湯。ひなびた湯小屋があり、湯けむりが立ちこめ、夏は木々の緑、冬は雪景色によく映える。
客室は本陣、東本陣、新本陣、1~3号館に計34室。本陣にある客室など一部の客室には囲炉裏があり、食事も部屋出しとなっている。料理は、みそ仕立ての山の芋鍋、山菜、イワナの塩焼きなどを秋田の伝統工芸、川連塗りの膳で味わえる。
山の芋鍋は30年前に提供を始め、今では名物料理になっている。地元で生産されているねばりのあるイモをすりおろし、つみれに。山菜やキノコ、豚肉を入れて自家製みそで仕立てる。もとはしょうゆ味だったが、みそ仕立てにすると、汁がにごらず、味がよくしみるという。
▽秋田県仙北市田沢湖田沢字先達沢国有林50。TEL0187(46)2139。 http://www.tsurunoyu.com/
乳白色の湯が湧く混浴露天風呂
料理のイメージ