【Jack高橋のユニバーサルフードとインバウンドの未来1】世界の食の多様性の現状 その1 高橋敏也


 最初に、世界の食の多様性の現状からお話ししなければならないと思います。

 国連人口基金(UNFPA)「世界人口白書2023」によると現在の世界人口は、約90億人といわれています。その中で、どのぐらいの人々が食の禁忌を持っているのかが重要となってきます。ここに関しては、明確なデータが出ていないのでさまざまなデータを集めてメイドインジャパン・ハラール支援協議会で独自に作成した数字を元にお話しさせていただきます。

 世界で食の禁忌を持つ人々の数と割合は、49億人/90億人となります。世界人口の約54%となります。約半分です。その内訳表にあるように、イスラム教徒20億人、プラントベース12億人(A)、ヒンズー教11億人(B)、アレルギー4億人、その他宗教2億人となります。(A)プラントベース・ライフスタイルと自己選択による市場規模。(B)のおよそ60%強がプラントベース。すなわち6億人のプラントベースが市場として存在します。つまり、プラントベースは18億人います。そう考えると食の多様性対応の大きなマーケットは、食の禁忌の中で41%を占めるイスラム教と36%を占めるプラントベース(ベジタリアン、ヴィーガン)に対応することで多くの食の禁忌をカバーできます。

 なぜこのような状況になっているのか? もちろん、まず一つには、イスラム教徒の人口増加が大きな要因です。実は、ムスリム(イスラム教徒)といえば、中東のイメージですが、実際には、多くのムスリムが日本から近い東アジアにいます。その中でも、現在世界一のムスリムの国は、インドネシアとなります。インドネシアのムスリム人口は、2021年のインドネシア宗教省の統計によると、総人口の86.93%(約2億7577万人)です。これは世界最大のムスリム人口で、インドネシアは世界最大のイスラムの国といわれています。さらに、インドネシアの人口は、2032年ごろには3億人を超えるといわれています。同じように、ムスリム人口のランキングの2位パキスタン(1.7億人)、3位インド(1.6億人)、4位バングラデシュ(1.45億人)となります。そして人口ボーナスが今後2040年~2060年ごろまで継続すると見込まれている国が、インドネシア、インド、パキスタン、バングラデシュなのです。つまりムスリム対応は、インバウンドの視点からも日本にとって重要といえます。

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 高橋 敏也(たかはし・としや)1980年3月武蔵大学人文学部社会学科卒業。同年4月明通(広告代理店)入社。独立後、プロデューサー業を中心に広告、メディア、IT業界を経て2014年一般社団法人メイドインジャパン・ハラール支援協議会を設立。2019年から一般社団法人宿泊施設関連協会(JARC)理事兼事務局長。農林水産省「国産ブランドロゴGIマーク」有識者委員、農林水産省「新JASマーク(仮称)」有識者検討会メンバー、観光庁広域周遊観光促進専門家、観光庁観光地域づくり法人(DMO)の体制強化事業専門人材、台東区2015~2023食の多様性対応アドバイザー。 

 
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