第1回でも触れたように食の多様性を考えた時の食の禁忌のある人々の中でムスリムの次に、大きな割合を占めるのがベジタリアン、ヴィーガンなど含めたプラントベースの人々で18億人います。昨年のインバウンド復活の中でコロナ前の中国人を中心とした外国人観光客の流れが、アフターコロナでは、ニセコや白馬に集まる富裕層が注目されるなど、欧米人を中心とした新たな流れが来ている中でベジタリアン、ヴィーガンなど含めたプラントベースは、非常に重要となってきます。
実は、コロナ前からニセコや白馬、志賀などのスキーエリアだけでなく、スノーモンキーで有名な湯田中温泉など既にベジタリアン、ヴィーガンは当たり前になっています。
欧米では、健康やSDGsに関わる地球環境問題への意識から確実に大きな流れになりつつあります。特にセレブやアスリートの方々、特に地球環境問題への意識が高く、ベジタリアン、ヴィーガン、プラントベースへのシフトが進んでいます。
例えば、スポーツの世界では元々肉食だったビーナス・ウィリアムズは、今は主にプラントベースの食生活を送っています。ノバク・ジョコビッチは、「ジョコビッチの生まれ変わる食事」の著作も執筆し世界にグルテンフリーブームを起こしています。F1レーサーのルイス・ハミルトンは、F1世界選手権で7度優勝し、ヴィーガンが高じて今では、独自のヴィーガンファーストフードチェーンである「Neat Burger」のオーナーでもあります。
また、ハリウッドセレブもハリソン・フォードが2020年に菜食主義者を告白したり、2020年「JOKER」でアカデミー主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスは、俳優でありながら熱心な環境活動家としても活躍しています。そのような流れを受けて2020年のアカデミー賞恒例の昼食会メニューがヴィーガン向けに、アフターパーティーも7割を変更されています。同じく2020年ゴールデングローブ賞のメニューが肉・乳製品なしのヴィーガン向けに変わっています。
もちろん、映画の世界だけでなく、音楽の世界でも2020年第62回グラミー賞を独占歌手ビリーアイリッシュも12歳からベジタリアンの家庭に育ち、今は、ヴィーガンです。ライブツアーは環境保全団体と提携し、会場で提供する料理を植物性にするなど気候危機に取り組んでいます。
その他にも音楽の世界では、アリアナ・グランデ、ビヨンセ、マドンナなどがいますが、エンターテイメントやセレブからの発信は、Z世代や富裕層に向けた大きな発信力があるので、その世代でのベジタリアン、ヴィーガン、プラントベースの増加が予想されます。つまり、富裕層やZ世代を受け入れるインバウンドの未来では、食の多様性対応は、非常に重要なファクターとなってきます。
(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)
地獄谷野猿公苑(長野県山ノ内町)SNOW MONKEY PARKとして世界に有名で、こことスキーを目当てに外国人観光客が訪れます