コロナ禍における日光市の観光施策
東日本大震災によって860万人台まで落ち込んだ本市の観光入込客数は、平成30年には震災前を上回る約1231万人を記録するなど、順調に回復してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、主要な誘客ターゲットである首都圏を中心に緊急事態宣言が発出され、加えて外国人旅行者の入国制限などにより、令和2年は約834万人、令和3年は約789万人の観光入込客数となった。
観光産業の早期回復を進める必要があったことから、「日光とくとく商品券」の宿泊施設専用券を発行するとともに、「Go Toトラベル事業」などの誘客施策に呼応し、「2DAYパスポート発行事業」「体験型コンテンツ販売促進事業」などの各種割引や、県外への移動制限時には栃木県内の小中学校に対し、日光市内への教育旅行等の費用の補助、解除後は、県内外の小中学校に対し、修学旅行等での緊急時の帰宅支援等を進めてきた。また、観光協会やDMO日光とも連携し、観光客の回遊性の向上事業や、外国人受け入れ環境調査など、コロナ禍収束後を見据えた準備にも取り組んできた。
さらに、「新たな生活様式」に見合う施策の変容のため、「イベントの開催」から「効果的なプロモーション」への転換も進めている。“新しい日光”を発信するブランディング「NEW DAY’NEW LIGHT.日光」をスタートし、首都圏向けに観光プロモーションの事業展開を始めた。
今年度は、コロナ禍からの観光業の反転攻勢を仕掛ける予定である。世界遺産「日光の社寺」周辺では、点在する観光資源を活用し、環境に配慮した低速電動バス「日光グリーンスローモビリティ」の運行を民間事業者と共同で4月に開始した。また、「オール日光」で、当市のPRや旅行商品の造成・販売促進のため、「観光情報商談会」の開催も予定している。
観光業を基幹産業とする当市では、今回のコロナ禍を踏まえ、これまでの観光における弱みの部分を強みに変えていく必要がある。時季や時勢による繁閑差が課題の一つであるが、四季折々のアクティビティや、一年を通して当市を楽しんでもらえる新たなプログラムの創出、滞在時間の延長・宿泊を促進するツーリズムの推進など、観光事業者と連携しながら誘客を進めていきたい。
今後も、世界遺産「日光の社寺」や、鬼怒川温泉など湯量豊富な「温泉」をはじめ、自然、歴史、文化など、地域の豊富な観光資源の磨き上げを図ることで、一日でも長く滞在していただける魅力ある観光地づくりを推進していく。
福田氏