【VOICE】コロナ禍と観光バス はとバス 取締役観光バス事業本部長 出井弘俊氏


出井氏

向い風に負けず走り続ける

 3年ぶりに行動制限のないGWを迎えた。今年はメディアでもGWお出掛けスポット特集が組まれ、観光地のにぎわいが伝えられ、これまでに比べれば「いつものGW」に近づいた。当社では、緊急事態宣言下で全ての観光バスツアーを中止した過去2年間のGWを経て、今年はやっとGW期間の運行がかない、多くのお客さまにご参加いただいた。ただ、感染症対策として、車内は原則相席を避けた配席とし、バス1台当たりの乗車人数を制限して運行したため、コロナ前のような「繁忙期」と呼ぶには及ばない結果であった。それでも、久しぶりの旅行にはとバスを選んでいただいた全てのお客さまに感謝している。

 GW期間中、社会全体で見れば、高速道路は渋滞し、観光地には多くの人が訪れた。長引くコロナ禍による人々の意識や行動の変化なのか、「観光バス」の需要回復だけは遅れているように感じる。実際は他の乗り物と変わらない換気性能を備え、車内の消毒、全員の検温、マスクの着用、乗車の際の手指消毒を徹底しており、走行中は着席したまま、同グループでも大声での会話は控えていただく等、かなり慎重に運用している。しかし、飛行機や新幹線では許容されている「座席での食事と飲酒」は、なぜかバスだけが制限されている。当然、当社もルールに従ってお客さまにお願いをしているが、「SA等で購入した各地の名物を車内で食べることがバスツアーの楽しみ」との意見も多い。現状、「いつものバスツアー」にはまだ遠く、バス業界においては、徹底した感染症対策をアピールするとともに、科学的根拠に基づいたルールの運用を強く求めたい。

 長引く新型コロナウイルスの影響に限らず、円安や物価上昇による値上げの連鎖、原油価格の高騰など、なにかと向かい風が強い。そんな中でも、「地域ブロック割」や「Go Toトラベル事業」などの観光促進支援策が引き続き実施、検討されていることについては大変ありがたく思っているし、希望の光である。できる限り早く、東京を含めた全地域に運用されることを切に望む。

 今回のGWの様子を見れば、制限され続けた人々の旅行意欲の高まりは一目瞭然である。「コロナが落ち着いたら」と皆が言い続けたこの2年半、まさにその時が来たのだろうか。今こそ、ツーリズム産業が一丸となり、観光復活に向けて、取り組まなければならない。

 旅行ができるということは、その街が平和であるという証。一日でも早く、日々満員のお客さまを乗せたはとバスが東京を駆け巡る姿を取り戻したい。

 

出井氏

 
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