多様性に対応するヒューマニティ”人間性尊重精神”
近年は、「ホスピタリティあふれるサービス」というものが、当たり前のように求められる社会になりました。観光業界・旅館ホテル業界に限らず、家電量販店や携帯電話販売ショップ・コンビニエンスストアなど、実に多種多様の仕事においてホスピタリティが求められています。一方で、AI化・オンライン化が進み、「人と触れ合わないサービス」というものも増えています。
この真逆のニーズが存在する社会の中ですが、私たちは他業種と差別化を図りさらに顧客満足を得る「ヒューマニティ産業」へと進化しなくてはいけないのではないでしょうか。なぜなら、「人と出会い」「触れ合い」「笑顔」でおもてなしする『対面』の魅力を伝え続けていくことが、この業界の使命だからです。
「ヒューマニティ」というと、とても難しく感じてしまうかもしれません。しかし、決して難しいことではありません。「一人一人の個性を大切にし、その人の思いや気持ちを一番に考え、その人のために行動をすること」を指します。
まさしく、『多様性に対応すること』です。
実は、日本の観光業界・旅館ホテル業界は、昔からヒューマニティを大切に接客してきました。とてもさりげなく、それでいて相手を安心させ居心地の良い空間を提供することを自然に行っていました。あまりにも自然に行っていたため、注目を浴びることが少なかったのですが、それこそが”分け隔てないおもてなし”なのです。
超高齢化社会が進む日本では、高齢であることも一つの個性です。身体的特徴も性別も国籍も、食習慣も、文化も、風習もすべてが個性です。ですから、おもてなしする側にも、個性を大切にしたおもてなしが求められるのです。例えば、小さなお子さまにスプーンを用意してあげる。高齢の方が食後に薬を飲むために常温の水を用意してあげる。「そんなことは当たり前だよ」と思う方もいると思いますが、当たり前にできていない業界もあるのです。
観光業界・旅館ホテル業界は、ホスピタリティの最先端の業界の一つです。だからこそ、これからは「ホスピタリティの先」の世界を目指していく必要があります。当法人では、”ワンランク上のおもてなし”ができるスタッフを育成するため、または”現場で働く人たちが自分たちの仕事の魅力を再発見する”ため、「接遇介助士ホスピタントの教科書」を作り、知識と技術を身につける教育を行っております。この教育は、多様性に合わせた新しい接遇の形です。
ぜひ機会がありましたら、一度本を手に取ってみてください。
鈴木氏