【VOICE】日本の観光人材確保に向けて 大阪観光大学観光学部教授・理事長付特別アドバイザー 小野田金司氏


大阪観光大学観光学部教授・理事長付特別アドバイザー 小野田金司氏

若者対象に3年間「旅行割」の継続を

 最近1週間の間に連続して三つの講演をする機会があった。一つは大阪観光大学が主催する「第1回関西空港を軸とする地域振興・観光振興研究会」での大学報告。主な参加者は地元の自治体の首長、DMO、航空関係企業など平均年齢50代、ほぼ男性で土曜日午後の開催。次は和歌山県串本町「くろしお塾」主催の「第1回地域未来学」のゲスト講師。主な参加者は串本古座高校の高校生と先生など平均年齢10代でやや女性が多い。平日の午後6時30分からの開催で終了後弁当を食べながらの振り返り会(任意参加)あり。そしてWILLER ACROSSの「社内セミナー・インバウンドと公務戦略」のゲスト講師。主な参加者は東京と大阪在住の平均年齢35歳、ほぼ社員全員参加で平日午後4時ごろ開催。終了後はインド人社員の父上が経営するインド料理店での会食(全員参加)。三つのセミナーとも参加者は30人程度、いずれも第1回目で、初対面の人が多かった。

 全く目的が異なるセミナーだが、ここ2年の観光リカレントネタを紹介しながら、「インバウンドは成長産業、観光は日本の最重要産業」「観光は楽しい、未来は明るい、みんなで観光しよう」と伝えることを心掛けた。

 大阪観光大学の研究会では、私の発表前に関西の詳細なデータが報告され、あふれる課題に重い空気だったが、「このエリアを観光人材の集積地に」という提言は、数人の若い参加者よりリスペクトをいただき一安心。

 WILLER ACROSSのセミナーはたくさんの質問が飛び交い、アグレッシブな社員の熱量で日本の観光の未来に期待が持てた。

 串本古座高校は過疎化で廃校寸前の高校を、「ロケットの町」でブランディング、全国から高校生を集め高校存続を目指している。校内に町立の塾を設置し、若くて熱い指導者がノリのいい高校生といいグルーブで講義を受けてくれた。

 三つともリアクションポイントが全く異なり、非常に興味深かったのだが、なかでも大きな気づきだったのが、串本の高校生たちが3年間自由に町から出ることもできず、ましてや旅もできなかったということだ。

 今観光業界で働くほとんどの人は、若い時代の旅の経験がきっかけになって観光業で働いているはずだ。そう考えると、若者が旅の機会を奪われた3年間のブランクは、近未来の観光産業にとって大きな痛手となるのではないだろうか。未来の観光をけん引する人材の確保のためにも、政府には若者を対象に3年間の「旅行割引」の継続をお願いしたい。

 

 
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