今号では引き続きITやウェブという側面から2019年以降の旅館・ホテル業界の動向を述べたい。
残る「省人化」「5G×IoT」というキーワードのうち、「省人化」についてであるが、宿泊業界の人手不足は喫緊の課題であるのは周知の事実であり、その中で「省人化」は避けては通れない道である。本コラムでも「プランのシンプル化」「電話問い合わせの減少の方法」「テクノロジー(お問い合わせチャットボット、AIレベニューマネジメントシステム)」などを通して取り上げてきたが、19年以降も引き続き大事な課題である。
省人化の中での大事な点は、従来のオペレーションを疑ってかかるという点である。先日も、ある旅館にて「お部屋案内の必要可否」が議論になり、結論としてその旅館では、お部屋案内がお客さまの求めるサービスと合致していないとして廃止となった。結果、お客さま満足度も下げずに、業務効率化につながったが、その業務が宿泊業本来の目的である「本当にお客さまのためになっている業務かどうか」という視点で仕分けをすることは大事なので、人手不足を嘆く前に一度実施してみてほしい。
最後に「5G×IoT」である。詳細の説明は割愛するが、端的にいうと、5G(=通信速度がさらに高速化されること)でIoT(=モノのインターネット化)が加速度的に進むであろうということである。中でも、一番注目されているのは「自動運転」であろう。自動運転には常に大量かつ、高速のデータ転送が必要であり(わずかなデータの遅れが大事故になるため)、5Gが必須要件となっている。その他、動画が一瞬で転送できたり、その場にいるのと遜色のないVR体験ができたりと、さまざまなことが日常生活レベルで変わっていくと予想されている。
そのような中で、宿泊業として期待したいところは「IoT搭載の清掃ロボットの普及」「自動運転での送迎」「事前にお客さまの趣向が分かるデータ分析」という事項であろうか。これらはいずれも実現可能性が大いにあり、これからの未来が楽しみである。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)