茨城県のイメージ向上に貢献した団体やイベントを表彰する「いばらきイメージアップ大賞」の今年度の大賞に昨年10月に公開された映画「桜田門外ノ変」が選ばれた。地域が水戸藩開藩400年を記念して発案しロケを支援した作品で、観客約60万人を動員する成功を収めた。撮影後から一般公開されている水戸市内の大型オープンロケセットも観光客に人気となるなど、茨城県のブランド構築につながった。
幕末の大老井伊直弼を水戸、薩摩の浪士が江戸城桜田門外で暗殺した事件を描いた作品。茨城県内12市町17カ所でロケが行われ、県民がエキストラや炊き出しに活躍。水戸市の千波湖畔には桜田門外を再現した大型オープンロケセットも建設された。
イメージアップ大賞の選考理由には、茨城ゆかりの人物、風景などが多く描写され、作品はもとより、県民のロケ支援の活動などが多くのメディアに取り上げられ、県の知名度アップに貢献したことが挙げられた。
また、クライマックスの暗殺シーンが撮影された桜田門外の大型オープンセットが併設する記念展示館とともに、多くの観光客を集めている点も評価された。昨年2月20日の公開以来、来場者数は1年間で21万4318人に達している。
14日には、東京・千代田区の都道府県会館でイメージアップ大賞の表彰式が開かれた。監督の佐藤純彌氏、水戸藩士役を演じた茨城出身の俳優、渡辺裕之氏らが出席。大賞実行委員会の委員長を務める橋本昌・茨城県知事から表彰状などを手渡された。
表彰式では岡部三十郎役を演じた渡辺氏があいさつし、「県民の皆さまの作品に対する支援を誇りに思う。撮影を通じて自分にも水戸藩士のディー・エヌ・エーがあると感じた。大賞を受賞できて本当にうれしい」と話した。
また、桜田門外ノ変は「いばらきロケ大賞」の大賞も受賞した。同賞は02年10月のフィルムコミッションの発足以降、ロケ支援作品が2千作品を突破したのを記念して選考した賞。同賞のうち「ロケ支援賞」に関しても、民間の地元有志を中心に約4500人でつくる「『桜田門外ノ変』映画化支援の会」が受賞した。
支援の会事務局長の三上靖彦氏は「県民の夢をこの作品にのせた。私たちが掲げてきたのは“映画づくりから始まる地域づくり”。本当に大切なのはこれからの地域づくりだ」と今後の活動に意欲をみせていた。
大洗水族館など 奨励賞を受賞
いばらきイメージアップ大賞は、06年度に創設して以来、今回で5回目を迎えた。大賞以外にも各賞が発表され、橋本県知事から表彰状や副賞が手渡された。桜田門外ノ変関係以外の受賞者、いばらきロケ大賞の受賞者は次の通り。
《いばらきイメージアップ大賞》奨励賞=アクアワールド茨城県大洗水族館、茨城県立大洗高等学校マーチングバンド部「BLUE—HAWKS」、かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソンかすみがうら大会
《いばらきロケ大賞》ロケ奨励賞=映画「下妻物語」、ロケ支援賞=つくばみらい市エキストラの会
県民がエキストラとして参加したロケ
(C)2010「桜田門外ノ変」製作委員会