鹿児島県指宿温泉の「いぶすき秀水園」が8月に創業60周年を迎えた。焼酎蔵元を営んでいた湯通堂保氏が蔵元の別荘を増改築し、8室の純和風旅館「喜楽」を創業したのが始まり。以来、時代に合った施設へと増改築を進めるとともに、定評のあった料理にさらに磨きを掛けている。8月24日に東京の観光経済新聞社を訪問した湯通堂温(ゆつどう・あたか)社長が今後の自館の経営方針を語った。
インクルーシブを企画 着地型商品造成も視野に
「われわれ旅館もただ、宿泊だけを取ればよいという時代ではなくなった。今、旅行会社と組み、地元の四つの旅館でアクティビティを含めたインクルーシブの企画を仕立てようとしており、10月ごろから実証実験を始める」
「アクティビティは100種類の中から選んでいただく。釣り船の手配や、あまり知られていない地元の温泉への案内など。地元で着地型商品を造成しているところがあり、そことも連携する。宿がコンシェルジュ的な役割を担い、お客さまがお着きになってから相談を承る」
池田湖前での朝食など地元ならではの魅力発信へ
「目玉となるのが池田湖での朝食。送迎バスを移動レストランのように改装して、調理師も同行してお客さまに湖の前で朝食を召し上がっていただく」
「私たちは地元にさまざまな観光資源を持っている。温泉も食事も旅館の中で提供できるが、それだけではなく、地元ならではのさまざまな魅力に触れていただき、お客さまに喜んでいただきたい」
湯通堂温社長。手にしているのは創業60周年を記念して製造した焼酎「秀水」