こんぴら歌舞伎が30周年


興行初日の前日に行われる「お練り」の写真展

興行初日の前日に行われる「お練り」の写真展

 江戸末期の1835年に建てられた芝居小屋「旧金毘羅大芝居(通称・金丸座)」で毎年春に開催されている四国こんぴら歌舞伎大芝居の30周年を記念した写真展「お練りの風景三十年」が、香川県琴平町の琴平町公会堂で開かれている。興行初日の前日に役者を乗せた人力車が町内を練り歩く「お練り」の様子を写真で振り返る。開催は第31回の興行期間(4月11〜26日)をはさんで5月6日まで。

 写真展は、主催が四国こんぴら歌舞伎大芝居受入協議会(近兼孝休会長・湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭)、共催が琴平町。JTB中国四国、JR四国が協賛している。

 こんぴら歌舞伎が行われる金丸座は、現存する日本最古の芝居小屋。明治以降、興行が衰退し、施設も老朽化したが、保存活動が展開され、70年6月に国の重要文化財に指定。76年3月に現在地に移築、復元され、往時の姿を取り戻した。こんぴら歌舞伎の興行は、関係者の熱意によって85年6月に始まった。
 こんぴら歌舞伎30年の歴史を振り返る写真展はお練りがテーマ。お練りは第3回(87年4月)の興行の際から、琴平町の商店街などを人力車で練り歩く形式で行われている。松竹などが写真を提供し、第3回から第30回(昨年4月)までの写真が展示されている。

 写真展では、第1回の興行に出演した澤村藤十郎さん、中村吉右衛門さんをはじめ、松本幸四郎さん、中村勘三郎さん(18代目)ら人気役者のお練りの様子が見られる。昨年の第30回の写真には、市川染五郎さん、尾上松也さんの姿が収まっている。

 写真の他に、お練りに使用する人力車、こんぴら歌舞伎の絵看板やポスターなども展示されている。写真展は今月7日に始まり、金刀比羅宮(こんぴらさん)を訪れる観光客らでにぎわっている。入場は無料。会場の琴平町公会堂は、金丸座のすぐ近く。

 21日には、地元の関係者が写真展やこんぴら歌舞伎をPRする記者発表会を開いた。受入協議会の近兼会長は「こんぴら歌舞伎の魅力を全国に、世界に広めたい。今後も地域関係者が一体となって、こんぴら歌舞伎やこんぴらさんといった観光資源をPRし、琴平町の観光を盛り上げていきたい」と語った。

 四国こんぴら歌舞伎大芝居推進協議会の会長を務めている小野正人琴平町長も「こんぴら歌舞伎は、役者との距離感、小屋の雰囲気など他にない情緒が感じられる異空間。琴平観光の要の一つとして地域活性化に生かしていく」と述べた。

 記者発表会には、来賓として香川県観光交流局の安松延朗局長が駆け付け、こんぴら歌舞伎の開催に尽力してきた町の観光関係者を激励した。

4月11日に初日 中村時蔵さんら出演 今年のこんぴら歌舞伎
 第31回四国こんぴら歌舞伎大芝居は4月11~26日、金丸座で行われる。毎日2回の公演。出演は中村時蔵さん、尾上菊之助さん、尾上松緑さんら。

 演目は午前11時開演の第1部が「伊勢音頭恋寝刃」「道行初音旅 吉野山」。午後3時30分開演の第2部が「芦屋道満大内鑑 葛の葉」「曽我綉俠御所染 御所五郎蔵」となる。

 お練りは4月10日午後3時、琴平町の金陵の郷からスタートする。

 問い合わせは、こんぴら歌舞伎事務局TEL0877(75)6714まで。

興行初日の前日に行われる「お練り」の写真展
興行初日の前日に行われる「お練り」の写真展
 
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