リクルートが運営する宿泊予約サイト、じゃらんnetが契約宿泊施設の承諾なしに交流型サイトのフェイスブック(FB)に“公式FBページ”を作成、公開した問題で、国際観光旅館連盟は2日、契約がある会員旅館のページの一括削除を同社に要請した。5日に削除完了の連絡を受けた。FBを独自にビジネスに活用しようという施設は増えており、削除の動きは広がりそうだ。今回の問題について宿泊業界には、「施設個々の販売戦略を損ないかねない問題」との認識が拡大している。
問題の発端はじゃらんnetによる7月1日のページ公開。契約宿泊施設への説明は前日に送られたファクスだけだった。旅館・ホテルの公式FBページを利用し、じゃらんネットでの予約を誘発する仕組みではないのかなどの疑問の声が契約施設の間から上がった。
契約施設の反発が高まる中、じゃらんnetは、管理画面で設定を行った施設のページだけを公開し、設定を行わない施設は非公開にする方式への変更を発表。7月14日にいったん全ページを非公開にした。非公開は閲覧表示されない状態だが、ページ自体は残ってしまう。削除は施設側が設定を行わないと実行されない。
国観連では、近畿支部が先行して7月13日に契約がある会員施設のページの一括削除を要請。本部も他の会員施設の意向を確認した上で一括削除を要請した。じゃらんnetと契約がある会員のほぼ全施設が削除に賛同した。
急速に普及したFBに精通する旅館・ホテルも多くはなく、当初は宿泊業界全般の反応は鈍かったが、全国旅館生活衛生同業組合連合会青年部が7月8日から全国3カ所で緊急セミナーを開くなどして問題点を提起した。国観連近畿支部も7月25日、リクルートの担当者を委員会に招いて事情を聞いた。
宿泊業界には、宿泊施設の経営方針や販売戦略に沿って自ら運用すべき公式FBページのようなサービスを特定業者の主導で利用されてしまうことへの問題意識が広がっている。じゃらんネットの施設情報の利用に関する約款の見直し、関係法規の研究などが必要だとする声も高まっている。