すみだ北斎美術館は、企画展「GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ」を11月25日から実施する。
いまや世界共通言語となった日本の漫画=MANGA。その起源には、様々な説があります。本展では印刷文化が発展した江戸時代の諷刺表現である戯画を、現代日本で認識されている漫画的な表現の出発点としています。幕府の改革、幕末の動乱、近代化、社会の矛盾や事件、庶民の日常など、浮世絵の「戯画」は様々な事柄を時にユニークに、時に辛らつに伝えました。そして明治になり、新聞や雑誌など近代的ジャーナリズム媒体の誕生と共に「戯画」は挿絵へ、そして漫画へと姿を変え、漫画雑誌が刊行されるに至り、大衆が楽しめる新しい絵画表現として確立しました。本展では、江戸時代の浮世絵版画から明治・大正時代の諷刺漫画雑誌、昭和戦中期の子ども漫画等、日本の漫画の変遷を展覧します。
* 戯画|人物の顔や動物などを遊びの目的や滑稽さ、諷刺的な意味を持たせて描かれた絵のこと。
* 開館予定につきましては、すみだ北斎美術館公式ホームページ(https://hokusai-museum.jp/)にて最新情報をご確認ください。
展 示 構 成
◆3つの章立てで紹介◆
現代の漫画的表現のルーツといえる作品を、江戸時代から近代への大きな時代の流れに沿ってご紹介します。
第1章 商品としての量産漫画の誕生 江戸中期からの戯画の大衆化 ~戯画本・戯画浮世絵~
第2章 職業漫画家の誕生 ~ポンチ・漫画の時代へ~
第3章 ストーリー漫画の台頭 ~昭和初期から終戦まで~
◆総展示作品数は約270点◆
時代の枠組みを越えて、総数約270点の「漫画のルーツ」が集合します。
より多くの作品をご覧いただくため、当館初となる前期・中期・後期の3つの会期で展示替えを行います。
<主な出品作品>
・世の中にあふれている「よし」(良いこと)を集めた作品|歌川国芳「浮世よしづ久志」
・漫画の原点ともいえるコマ表現やキャラクター性に注目|葛飾北斎『北斎漫画』
・人気絵師暁斎がことわざを戯画化したシリーズ|河鍋暁斎「狂斎百図」
・時局諷刺画「ポンチ」という言葉のきっかけ|チャールズ・ワーグマン『THE JAPAN PUNCH』
・全頁カラーでビジュアル重視、明治の漫画雑誌ブームの火付け役|『東京パック』
・日本初の日刊連載の新聞4コマ漫画|小星・東風人『お伽 正チャンの冒険』
展 示 の 見 ど ころ
江戸時代の北斎、国芳、暁斎などの浮世絵版画と、明治以降に台頭した漫画雑誌や漫画本などの近代漫画に着目し、時代に合わせ姿を変えながら発展してきた漫画的表現の変遷を紹介します。
① 浮世絵版画 〜第1章の展示から~
江戸時代は印刷出版技術が発展し、浮世絵版画の分野で、北斎や国芳など全国的な人気を誇る絵師が次々と登場。なかには諷刺を込めた「戯画」が多数登場し、民衆の人気を集めました。
② 近代漫画 ~第2章・第3章の展示から~
明治時代になると海外の影響を受け、時事的テーマ等を諷刺画と文章で紹介した漫画雑誌が登場。教科書でも目にするワーグマン『THE JAPAN PUNCH』をはじめとした明治時代の貴重書は必見です。
「GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ」展_チラシ