負債151億 利用客8万人影響か
海外旅行ツアーなどを手掛ける旅行会社、てるみくらぶ(東京都渋谷区、山田千賀子社長)は3月27日、東京地裁へ自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けた。同日、国土交通省で記者会見を開いて説明した。負債は約151億円。一般旅行者に対する債務は約3万6千件、約99億円で、利用客数では8~9万人に影響が及ぶとみている。
記者会見で同社の山田千賀子社長は、顧客や取引業者などの関係者に対し「多大なるご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」と謝罪した。取引業者に対する債務は、未確定の数字ながら、96社で約18億円としている。
帝国データバンクによると、同社は1998年12月に設立。格安海外旅行で一定の知名度を有し、近年は欧州旅行など付加価値の高い商品を提供するなどし、2016年9月期の年売上高は約195億円。しかし、広告出稿に伴う販管費負担などのほか、円安の影響も重なり、利益率は悪化、余裕のない資金繰りが続いていた。3月24日に突然、旅行ツアーの航空券が一部発券できなくなるなどトラブルが表面化。取引先に対する支払い遅延も発生する中、資金繰りのメドも立たず、事業継続を断念した。
記者会見での同社からの説明によると、一昨年からシニア層の顧客獲得に注力してきたが、媒体への広告出稿などのコストが増加。財務悪化に伴い資金調達を模索していたが、国際航空運送協会(IATA)に対し、支払い期日の3月23日までに航空券購入代金の債務を支払うことができなかったという。
てるみくらぶは第1種旅行業に登録。日本旅行業協会(JATA)の正会員で、旅行者に対する同協会の弁済業務保証金制度の弁済限度額は1億2千万円。
円滑な帰国へ立ち入り検査 観光庁
観光庁は3月26日、てるみくらぶに対し、旅行業法に基づく立ち入り検査を行った。同社のツアーで渡航中の海外旅行者が円滑に帰国できるように事実関係を確認。同日時点ではハワイ、台湾、韓国、イタリアなど38カ国・地域に約2500人が滞在しているとみている。
旅行者の帰国について観光庁は、国交省航空局を通じて各航空会社に対し、有効な航空券が発券された後は、旅行業者から運賃を受領していない場合でも、搭乗を拒否できない旨の通達の確認を求めた。また、外務省を通じて在外公館に、旅行者からの問い合わせへの対応について協力を要請した。