日本政策投資銀行東北支店はこのほど、アジアの8カ国・地域を対象に実施した「東日本大震災後の訪日観光意識」調査の結果を発表した。それによると、日本への旅行について「控えようとは思わない」「震災直後は控えたが、今はそう思わない」という前向きな回答が全体の約7割を占め、震災の観光への影響が払拭しつつあることが明らかになった。
調査は昨年10月18~30日にかけ、北京、上海、台湾、香港、韓国、マレーシア、タイ、インドネシアの20~59歳の男女計4052人に対し、インターネット上で実施した。
調査結果によると「控えようとは思わない」は35.4%、「震災直後は控えたが、今はそう思わない」は32.9%だった。対して、「震災後から今でも日本旅行を控えている」は24.0%、「震災と関係なく、日本旅行はしたくない」が7.7%だった。
同支店は「現在では震災を原因として訪日を躊躇している人は少なくなりつつある」と分析している。
訪日観光について前向きな回答を地域別に見ると、タイが合わせて89.9%と最も高かった。次いでマレーシアの80.5%、インドネシアの74.6%が続く。最も低かったのは韓国で、47.0%と5割を切っている。
被災地視察ツアーへの参加意向を聞いたところ、「ぜひ参加したい」は20.9%、「やや参加したい」が36.1%で、全体の約6割が関心を示した。地域別ではタイ、インドネシア、マレーシアが積極的であり、北京や上海の訪日リピーターも関心が高かった。
一方、日本への旅行の不安としては全体の4割が「地震が起こるか心配」「放射能による健康被害が心配」と回答。「日本の安全イメージが低下した」との回答も少なくない。同支店は、「地震と福島第1原発事故で傷ついた日本の安全イメージの回復のため、より一層の正確、かつ継続的な情報の発信が必要」と指摘している。