全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)と楽天トラベルは10月31日、東京の全国旅館会館で「楽天アフィリエイト新システム」について、初の協議を行った。旅館.ホテル側に新たなコスト負担が生じる新システムについて、全旅連からは導入を撤回するよう求める声が強く、楽天側からは、効率的な集客を図る上でアフィリエイトへの投資が必要と、実質的な手数料値上げに理解を求めた。
ただ、楽天側は旅館.ホテルの要望を踏まえて新システムの内容を見直すかどうか検討するとしており、今月7日にも検討内容を全旅連に報告する予定だ。
協議には全旅連から佐藤信幸会長、大木正治会長代行、佐久間克文ネット対策.広報委員長、山口敦史青年部長ら、楽天トラベルから山本考伸社長、羽室文博国内営業部長らが出席した。
全旅連からは、先に組合員に対して行った同問題に関する緊急アンケートの結果をもとに、業界からの要望を伝えた。アンケートでは、今まで楽天が負担していた広告主(アフィリエイター)への広告費用(予約成立金額の1.0%)を、今後施設が全額肩代わりする点について89.7%、楽天の新しいシステムについて、施設側に参加、不参加の選択権がないことに92.6%が「納得できない」としている。
全旅連からは「新たなコストが発生する点や、新しいシステムを受け入れないと実質的に楽天と契約できない点に問題がある」「アフィリエイト広告経由の契約が現在は20%程度というが、アフィリエイトは成長分野のため、20%から上振れする可能性が高く、今後いくら増大するか不明確だ」「旅行と関係の薄いアフィリエイト広告にも費用を払うのは納得できない」と指摘。
楽天側は、「手数料の値上げをしたくない、という思いから、この話が始まっている」「アフィリエイトは重要なネットワークと認識している。運営、維持するための原資として、施設の皆さまのご負担をグループ内で検討してきたところだ」と、同社の取り組みに理解を求めた。
両者は約2時間にわたり、互いの考えを主張。ただ、「社内(取締役会)で議論することは確約させていただく」(楽天トラベル山本社長)と、新システムの内容について旅館.ホテル側の要望を踏まえて再検討する考えを示した。
同社の検討内容は今月7日、全旅連に報告される予定だ。
全旅連(右側)と楽天トラベル(左側)の協議=10月31日、全国旅館会館で