インバウンド向けアパートメントホテル、「SECTION L Ueno-Hirokoji」が開業した。
- 伸びる訪日客の滞在日数、長期滞在に適した施設は不足
観光庁の統計によると訪日客の平均滞在日数は2023年第2四半期時点では9.7泊と、長期化傾向にあります。
2023年の同時期の東京での滞在期間は、5.8泊を記録しました。(多くの訪日客が一回の来日で複数の都市に滞在する傾向があるため)出身地域別では、欧米豪の訪日客が最も長く滞在する傾向がみられています。
【出所】観光庁、日本政府観光局(JNTO)
一方で長期滞在需要の受け皿となる宿泊施設は日本では主に4種類あり、宿泊者にとっての課題も様々です。
1)従来のホテル・旅館
基本的にはキッチンやランドリー設備がなく、空間も狭いため(日本最大手のホテルチェーンの平均的な客室面積が12平米とされている)宿泊者にとっては快適な長期滞在ができない施設が多いです。
2)サービスアパート(Co-livingを含む)
長期滞在に適した「住宅型」の宿泊施設が多い反面、「ホテル・旅館業」の営業許可を受けていない宿泊施設は、旅館業法上1ヶ月未満の予約を受け入れることは禁止されています。よって、1泊〜29泊の滞在を希望する宿泊者は予約ができません。
3)民泊
住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018年に施工される前から、特に訪日客に人気のあるオプションでした。宿泊者とにっては、個人と法人が運営する施設の判別が難しく、サービス水準の不透明性が残ります。
4)アパートメントスタイルホテル
上記の課題(顧客のペインポイント)を解決するために近年生まれた新しいカテゴリーです。新しい市場である事からエキスパートが少なく、現時点では供給過小のカテゴリーでもあります。宿泊者にとっては、予算やライフスタイルに合った選択肢が少ない事が課題です。
例えば東京都内における高価格帯かつ、キッチンやランドリーを各部屋に備えているアパートメントホテルとブランドサービスアパートの総部屋数は約4,000室とされています。これは約18万部屋ある東京都内の宿泊施設の約2.2%のみとなります。
- 解決策:ホームライクなホテル空間
SECTION Lブランドのホテルは全て、平均滞在日数5泊以上の旅行客をターゲットとし、「ホームライクなホテル空間」を21カ国のスタッフで構成される全社チームにより運営しています。
創業以来3年間で累計延宿泊人数10万人を越え、90カ国以上からのゲストの滞在をホストしてきました。信頼されるアパートメントホテルブランドとして、全ての予約プラットフォームにおいて最高水準のレビューを維持し続けています。
ブランドスタンダードとしては、バイリンガルのスタッフに加え、全ホテルの客室に「調理器具完備のキッチン、洗濯乾燥機、リビング・ダイニングエリア、生活日用品」を備えています。デザインにおいても、北欧の高級家具ブランドや日本のローカルアーティスト等と協業し、居心地が良くも唯一無二の空間作りに徹底しています。
最大収容人数は4名〜6名とグループやファミリーにも快適に滞在していただける様、客室面積は30平米〜70平米の広さを確保しています。
インテリアデザインも、SECTION Lブランドは、それぞれの土地に合わせたテーマを採用しています。上野広小路では、下町・昭和レトロと北欧モダンの融合が楽しめる空間となっています。
今回SECTION L UenoーHirokojiの上層階のスイートルーム2室では、都内でも珍しいプライベートサウナ付きの仕様になっています。
SECTION L のロビーでは、毎週宿泊者限定のフリーカクテル・アワーを開催し、多国籍な旅行客のソーシャライジングを促進します。宿泊客はその他のSECTION L拠点のカクテルアワーにも参加する事ができ、物件間でのボーダーレスコミュニティの創造をサポートします。
- SECTION Lブランドの実績
2023年上半期、全SECTION L拠点のADR(平均客室単価)は 27,300円と、東京都心部のホテル市場の平均(13,069円)を2倍上回りました。RevPAR(稼働率と客室単価の指数)では21,249円と、こちらも同市場の平均(10,955円)を2倍上回りました。
上記の要因は、インバウンドの中でも高単価かつ長期滞在傾向のある欧米豪の宿泊客を取り込む事に成功している事が上げられます。全SECTION L拠点の2023年上半期の宿泊客の平均滞在日数(ALOS)は6.5泊でした。
SECTION Lはホテルの直接所有はせず、運営委託契約又は賃貸借契約を国内外の不動産機関投資家と結ぶ形でブランド展開を行っています。2020年創業以来、3年間で計5社の不動産機関投資法人と運営委託契約を締結し、合計9棟の宿泊施設をSECTION Lとして展開して来ました。
Section L Ginza East (2020年 7月開業) https://section-l.co/ginza-east/
Section L Asakusa East (2022年 3月開業) https://section-l.co/asakusa-east/
Section L Hatchobori (2022年 12月開業) https://section-l.co/hatchobori/
Section L Hamamatsucho (2023年 3月開業) https://section-l.co/hamamatsucho/
Section L Residence Ginza (2023年 4月開業) https://section-l.co/residence-ginza/
Section L Kuramae (2023年 6月開業) https://section-l.co/kuramae/
Section L Tsukiji (2023年 6月開業) https://section-l.co/tsukiji/
Section L Yushima (2023年 6月開業) https://section-l.co/yushima/
Section L Ueno-Hirokoji (2023年 10月開業) https://section-l.co/ueno-hirokoji/
- 投資家およびSECTION L代表からのコメント
株式会社中島董商店(株式会社董花 親会社) 代表取締役社長 中島 周
「この度、SECTION Lと共にホテル開業の機会を得られた事を、大変光栄に思います。
当社はキユーピー(株)、アヲハタ(株)の創業会社として、食文化とホスピタリティー文化を発展させる企業です。このホテルは古き良き日本の文化を伝えるコンセプトを持っています。今後もSECTION Lと共に、文化の価値創造を目指していきたいと思います。」
株式会社セクションL 代表取締役社長 ハワード・ホー
「このホテルを通して、上野広小路という無限の文化的魅力に満ちたノスタルジックな街を、世界中から来るお客様にご紹介するのが待ちきれません。 歴史ある企業であり、素晴らしいコアバリューを掲げる中島董商店とこのビジョンを共有できることを光栄に思います。日本の魅力を世界に紹介し続けるために、今後のコラボレーションを楽しみにしております。」
- インテリア・デザイナーCUPS Inc.からのコメント
株式会社カップス Founder/Designer 齋藤 大輔
「CUPS Inc.は東京を拠点に活動するデザインスタジオです。ホテル、レストランやバー、オフィス、住宅など幅広い分野で、建築やインテリアを軸に、プロダクト、ロゴデザインまで包括的なデザイン・ディレクションを行っています。プロジェクトの与条件から“らしさ”を抽出し、愛着が湧く空間をご提案する姿勢を軸に、その空間で新しい愉しみ方を創り出すことを目指しています。
本プロジェクトは上野エリアに根付くレトロな下町文化の要素を観察し、汲み取り、そのエッセンスとホテル機能を掛け合わせることで、その土地が持つ“空気感“を感じ取ることができるホテル空間を表現しました。」
- 株式会社セクションLについて
2020年に設立されたホテルマネジメントカンパニーです。創業チームの過半数が米コーネル大学のホテルスクールを卒業し、シャングリ・ラやフォーシーズンズ等のグローバル・ホテルチェーンや、ホテル不動産ファンド等での経験を持ち合わせた、ホテル経営のエキスパート集団です。従業員60人が21カ国の国籍からなる、多様性も特徴の一つです。
主な事業として自社ブランドの長期滞在型ホテル「SECTION L」の運営と、省人化ソリューション・ソフト及びコミュニティ・プラットフォーム「InterSection」の開発を行っております。