WILLER(ウィラー)は7月19日、MaaS(マース)の価値、課題、方向性について討論するイベント「MaaS Meeting2019」を東京・大手町の東京サンケイビルで開催した。観光、交通関係者、自治体ら約590人が参加。観光分野や地方での二次交通としてのマースの可能性を、トークセッションを交えながら紹介するほか、自社開発の観光マースアプリを紹介した。他業界とも連携し、定額制乗り放題を検討するなど、マースの取り組みを推進する。
冒頭、観光庁の田端浩長官が「訪日外国人が増え、旅行をしやすいモビリティ改革を実現するには、地域が一体となりユーザー目線で進めることが必要。マースは、官民が一体となり進めていく」とあいさつした。主催者を代表してウィラーの村瀬茂高社長が「マース市場は、世界で100兆円以上に成長。まさに今、100年に一度の交通改革が進み、ライドシェアなど新しい交通サービスが生まれている。インフラである交通が、エネルギーや住宅、保険などあらゆる業界とも連携し、さらに安心して心豊かな社会を作る役割を担わなければならない」と述べた。また、マースを浸透させ、公共交通を補完し、空白を埋めるためには、オンデマンドシェアや定額乗り放題のサブスクリプションなどが必要だと説いた。
トークセッションでは(1)地方経済を活性化させる観光MaaSとは(2)交通空白地帯を埋めるモビリティサービスとは(3)ソーシャルイノベーションを変えるMaaSアプリの可能性とは―をテーマにマースの可能性について討論。二次交通が不足する地方でマースを展開するためには、誰もが分かる詳細な交通情報発信やキャッシュレスによる支払いでの利便性向上、自動運転、カーシェアリング、小型モビリティなど、その土地に合った適切な乗り物やシステムの導入など受け入れ整備の必要性を説いた。
また、登壇者らは地方訪問に向けたラストワンマイルの移動への課題について、自治体、業界団体、各事業者、地域の人たちで考え、これまでの常識を超えた人のインスピレーションを刺激する新たな形を作り上げてほしいと訴えた。
一括予約決済アプリ 8月から稼働開始
同日、会場ではウィラーが自社で展開するマースへの取り組みについて発表。8月に交通やスポット、アクティビティ、経由地(5カ所)を検索し、一括予約、決済ができるアプリの運用の開始を発表した。アプリでは、「ひがし北海道」「京都丹後・但馬」エリアで利用ができる。
観光マースの可能性を語る村瀬社長