ウポポイ、開業半年で20万人 体験プログラムなど強化


伝統的コタン(集落)を見学する子どもたち=昨年10月

 北海道白老町に設置されたアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が1月12日で開業から半年となり、この間に19万9千人が来場した。

 新型コロナの感染拡大で、開業が4月24日から7月12日にずれ込むとともに、当初から3密防止のため事前予約制を導入して1日の入場者数を制限。

 入場時に検温や手指消毒、マスク着用などを徹底し、体験交流メニューも、対面型や接触のおそれのあるプログラムを見送るなど、苦心の運営を行ってきた。

 そうした中で、来場者は開業した7月が2万4千人だったが、夏休みやGo Toトラベルを受けて10月には5万2千人に増加。特に小・中・高校の教育旅行による来場が活発で、603校4万9千人と全体の4分の1を占め、当初少なかった道外客も35%ほどに増えた。

 また、来場者に対するアンケートでも、来場して良かったとする回答が多く、アイヌ民族の歴史・文化を体感できる施設として高評価を得ており、感染拡大前に設定された年間来場者100万人の目標達成は難しいものの、コロナ禍の中で新設の施設でありながらも健闘している。

 しかし、11月から観光の端境期に入るとともに、Go Toトラベルの一時停止もあり、11月が2万9千人、12月が8千人、1月が11日までで2千人と来場者の落ち込みが続いている。

 ウポポイでは、10月から、博物館協会の感染対策ガイドライン改訂を受けて1日の入場制限枠を平日2200人、土日祝日2700人に拡大。体験文化ホールで伝統舞踊を鑑賞できる人数を広げ、伝統楽器ムックリ(口琴)の演奏と製作、刺しゅう、アイヌ料理の調理などの体験メニューを強化、博物館においても、特別展を企画するなど、魅力アップに努めてきた。

 さらに、1月から屋外の環境を生かし、弓矢で的を射る狩猟体験やシカ皮を使って滑る冬ならではのプログラムも設定。新年度に向けてホームページを活用したバーチャル博物館の開設も検討している。

 ウポポイには、既に4月以降の教育旅行の予約が422校から入っているという。

 身近にアイヌ文化を体験して理解を深める施設であるとともに、体験型観光の核にと期待され、教育旅行での活用も広がっているウポポイ。コロナの感染状況を見極めながら、課題の体験交流プログラムの一層の充実と全国的な知名度アップに向けた取り組みが求められている。


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