環境対策に積極的に取り組む宿泊施設やキャンプサイトなどを認証する、北欧発のエコラベル「グリーンキー」の認証が3月から日本でも始まった。これに伴い、認証に向け早くから取り組んでいた明神館(長野・扉温泉)、銀座吉水(東京・銀座)、ホテルリッチ&ガーデン酒田(山形・酒田)の3施設が認証を受けた。さまざまな産業で環境対策が叫ばれるなか、国際的には環境対策の有無も宿選びの基準となっており、環境対策先進国の多い北欧発のグリーンキーは今後注目を浴びそうだ。
グリーンキーは94年にデンマークのホテル・レストランなどの業界団体が中心となって始めたエコラベル事業。03年から国際NGO環境教育基金(FEE)が実施主体となり国際的な事業に発展した。09年3月時点では日本を含む世界13カ国が認証事業に参加し、642施設がグリーンキーを取得している。多くの施設が取得するフランスやオランダでは現在、宿泊施設を選ぶ際の基準の1つとなっている。
取得には認定基準約94項目のうち義務項目となっている80項目をクリアしなければならない。例えば、「自社の環境活動と、活動に参加する方法を宿泊客に知らせている」「地域で生産された、もしくはオーガニックやエコラベルの認証を受けた食材の購入量を記録している。グリーンキー認証後12カ月以内には、食材の購入量全体のうち認証を受けた食材の割合が金額上で20%を上回っていなければならない」など。項目が多いうえ、購入量や消費量などを裏付ける領収書などの提出が求められる。
およそ20年前から無農薬野菜の使用を始め、コジェネレーション(熱電併給)の導入なども行っている明神館は、環境対策に取り組む施設であることを裏付けられる制度を探すなかでグリーンキーに出会った。「食材の仕入れなどの面で基準を満たしているかを見直す作業が大変だった」と齊藤忠政同館専務。約1年ほどかけ書類などを整え取得に至った。
審査は食材仕入れや従業員の環境活動参加など多岐にわたり、明神館以外の2施設も取得までに銀座吉水は約1年、リッチ&ガーデン酒田は約2年半かかっている。このほか1施設が審査を途中で断念しており、認証は容易ではないが、「国際的には環境への取り組みも利用者が施設を選ぶ際の基準の1つとなってきている。日本でも多くの施設に取得してほしい」と日本での認証事業を手掛けるFEEジャパンは期待する。
日本の施設が取得する場合、審査員1人が現地審査に行く際の交通費と認証書発行費用3千円がかかる。取得審査は、ヨーロッパでは年1回だが、日本では認証施設拡大のため当面、春と秋の年2回審査を行う予定。
FEEジャパンでは、3年間で国内の認定施設を100施設まで増やし、環境対策を意識する人が選ぶ宿泊施設の選択肢を増やしたい考えだ。
グリーンキーのロゴ(FEEジャパン提供)