観光客の急増が地域の市民生活や自然環境に負の影響を及ぼし、結果として旅行者の満足度も低下させる「オーバーツーリズム」。こうした課題に対応しようと、観光庁は18日、長官を本部長とする「持続可能な観光推進本部」を設置した。海外を含めた事例研究に着手し、地域による調査なども支援していく。
世界の著名な観光地では、観光客の急増が交通機関の混雑、交通渋滞、マナー違反、違法民泊などを引き起こし、住民が行政に対策を求めるといった問題が起きている。観光庁では、「国内でも一部の観光地で地域住民の生活環境などに影響が出始めている」として同本部を設置した。
外国人観光客の増加や集中に伴う混雑、生活環境の変化、マナー違反などを課題の例に挙げ、事例を把握し、対応策を検討する。本部事務局長は観光庁観光地域振興部長が務める。
観光庁の田村明比古長官は、20日の会見で「観光客の増加による地域の雰囲気の劣化などは、旅行者の満足度を下げ、生活者の不満を高める。そうした状況をどう解決するか。知恵を働かせ、いろいろな手法を組み合わせ、両者の満足度を落とさないようにする。行政にとっては高度な対応が求められるが、国としても自治体を支援していく」と述べた。