カジノを含む複合商業施設(IR=統合型リゾート)の効果をアピールするイベントが3月31日、東京・台場のヴィーナスフォートで開かれた。会場内にはバカラやルーレット、ブラックジャックなどが体験できるテーブルが並べられ、同施設を訪れたカップルや親子連れなどがカジノの疑似体験をした。
このイベントは「国際観光産業振興推進シンポジウム」で、米人気ドラマ「ラスベガス」のDVDリリース記念スペシャルイベントの1つとして開かれた。
IR、カジノ企業の経営者によるプレゼンテーションでは、カジノを含むIR開発によって国際観光デスティネーション都市としてのブランディングが確立され、国家成長戦略の柱になっている例を示した。
MGMリゾーツ・インターナショナル上級副社長のアラン・フェルドマン氏は「IRはエンターテイメントと観光(の振興)に素晴らしいインパクトを与える。いずれは東京にできるだろう」との見通しを示した。
「国家成長戦略の柱としての国際観光産業振興による東アジアのハブ復権」と題し、溝畑宏・観光庁長官と松沢成文・前神奈川県知事、谷岡一郎・大阪商業大学長が持論を展開。溝畑氏は日本の観光国際競争力強化の観点からIRの導入は不可欠とし、松沢氏は「IRは都市再生につながる。まず、東京圏と大阪圏に作るべきだ」と提言した。
カジノについては暴力団の介入や青少年への影響、ギャンブル依存症などの危険性が指摘されるが、谷岡氏は「厳格な法制化と運営、教育で回避できる」と指摘した。
今年1月、超党派議員から成る国際観光産業振興議員連盟(会長・古賀一成民主党衆院議員)による、「カジノを核とした特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案」が同党政調内閣部門会議で了承されるなど、国内のカジノ、IR開発に向けた動きが高まりつつある。シンポジウムでは文化・芸術の観点からIRへの期待を語るパネルディスカッションも行われ、歌舞伎役者の市川団十郎さんや華道家の池坊保子さん、日本画家の藤島博文さんらが意見を交わした。
この日は日本カジノスクールを卒業したプロディーラーが対応。子供と一緒にルーレットを体験した30代の男性は「韓国でカジノを経験したが、けっこう熱くなった。でもルールを覚えるのが面倒。日本にあってもいいと思うが、場所の問題や出入りのチェックなどきちんとしてほしい」と話していた。
疑似体験する親子連れ