コロナ禍2回目のGW 「例年の5割程度」「高齢者の動きがない」


GW期間中(5月1日)の南三陸さんさん商店街

主な温泉・観光地に入り込み状況を聞く

 コロナ禍で2回目のゴールデンウイーク(GW)。全国各地の主な温泉・観光地の入り込み状況はどうだったか。初の緊急事態宣言が発出された昨年に比べると客数が増えたとの指摘はあるものの、今年も各地へ緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出。「客足は例年の5割程度」「高齢者の動きがない」と、おしなべて厳しい状況だ。本紙が取材した。

 北海道の登別国際観光コンベンション協会によると、登別温泉のGW期間中の入り込みは「例年の5割程度と、かなり少ない」。ただ、5月1、2日はほぼ満室で、「多少活気がある」状況だった。昨年は緊急事態宣言下で主な旅館・ホテルがほとんど休館だった。

 しかし、コロナ対策で客室をフル稼働させていない施設があり、満室といえども通常の客数には達していない。

 宮城県の秋保温泉は、「一昨年比で4割程度の入り込み」(旅館組合)。まん延防止等重点措置が同県に適用されてから、キャンセルが続出したという。「GWは若い家族連れやグループが目立ち、いつもは6割ほどを占めていた高齢者のお客さまの動きがほぼなかった」。

 宮城県南三陸町の「南三陸さんさん商店街」。名物の「キラキラ丼」を提供する飲食店の店員は「いつものGWに比べ、お客さまは半分以下」。昨年のGWは緊急事態宣言下で店舗を閉め、デリバリーのみ対応していた。「早く感染が収まるよう、(行政には)何とかしていただきたい」。

 「GW前半は(宿泊客は)少なかったが、5月3、4日はほぼ満室だった」と塩原温泉観光協会(栃木県那須塩原市)。2019年と比べるとダウンしているが、昨年と比べるとかなり良かったという。ただ、客室数を減らしての満室だけに素直には喜べない。5月30日には塩原温泉を舞台に「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」が実施される予定で、「多少なりとも町のにぎわい創出につながればうれしい」。

 草津温泉旅館協同組合(群馬県草津町)によると、「コロナ前の19年のGWと比べると宿泊客数は25~30%ダウンしている」。19年は10連休と期間が長く単純比較はできないが、おおむね予想通りの入り込みと捉えている。

 新潟県の月岡温泉旅館協同組合は「4月は休館した宿がほとんどで、5月1~4日の状況は人員で例年の5、6割。新潟県と新発田市のそれぞれで県民プランがあり、県内客が例年5、6割のところ8割超」。

 山梨県の河口湖温泉旅館協同組合は「通年から見ると(客数が)若干落ちたぐらい」。

 長野県の白骨温泉は「通年の半分(の入り込み)」(観光案内所)。例年、県外客がほとんどだが、今年も同じ状況という。

 「感覚で言うと、それほど極端に悪くない印象だが、もちろん例年並みとはいかない」とは、静岡県の稲取温泉旅館協同組合。県による「県民割」事業が実施されているが、感染状況の悪化を受けて、5月1日以降の新規予約から割引が一時停止された。今後は「GWでひと山越えた感じで厳しい。先が見通せない状況だ」。

 岐阜県の下呂温泉旅館協同組合。「思ったよりは、といった感触だ。5月2~4日あたりは比較的良かったのではないか。日中の様子では若い人たちの姿が多かったようだ」。

 石川県の和倉温泉は、宿泊客数が前々年比で5月2、3日は70%ぐらいの入り込み。ただ、ほかの日は30~40%ぐらいだったという。「県内や隣県からの入り込みが多いようだ。コロナ前の状況にはなかなか戻っていかないが、ワクチンの接種が早く進むことに期待している」(旅館協同組合)。

 京都市観光協会によると、市内の観光・宿泊客数は「昨年より若干増えている」状況。客層はカップルなど若年層が多く、近隣の他府県ナンバーの車や、一部首都圏からの観光客も来ていたという。緊急事態宣言中でもあり、ホームページでは「今は京都観光を我慢してほしい」旨を案内している。

 鳥取県の三朝温泉。旅館協同組合が客数を調査したところ、4月28日~5月5日は19年と比較して37・2%(22軒中17軒が回答)。

 状況は日を追うにつれて厳しくなっているという。「緊急事態宣言発令後はより顕著に。マイクロツーリズムといわれるが、近隣(からの入り込み)も厳しい状況」。4月29、30日は悪疫退散、GW以降の誘客へ期待を込めて花火を打ち上げた。

 大分県旅館ホテル生活衛生同業組合は、「大分市内ホテルの平均客室稼働率は3~4割程度」。県内の感染ステージ悪化に伴い、県民限定キャンペーン「新しいおおいた旅割」が一時停止になった。「旅割が再開され、まずは大分県内、続いて九州域内、九州以外へと誘客の範囲を広げていきたい」。

 宮崎県ホテル旅館生活衛生同業組合によると、組合員旅館・ホテルのGW期間中の客数は前年比4割増しも、コロナ前に比べると半分未満。

 県では県民限定の「ジモ・ミヤ・タビキャンペーン」が4月に始まったが、5月末まで停止の見込み。「県内の感染者数が落ち着いてくれることが第一」といい、大分県と同様、県内、九州内、九州以外と、徐々に誘客の範囲を広げたい考えだ。

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