観光・旅行関連コンサルティングのサードエイジスタイル(東京都墨田区、久留一郎社長)は8月28日、第3回セミナー「中国人個人観光客向けビザ解禁!中国人観光客集客のための傾向と対策」を都内で開いた。旅行会社、ホテル、証券会社、メーカーなど幅広い業種から25人が参加。中国人インバウンドへの関心の高さがうかがえた。
日本政府観光局(JNTO)のメディアコンサルタントで、ヨドバシカメラの中国人誘客アドバイザーもつとめる可越・日中コミュニケーション社長は「中国観光客とのコミュニケーションの課題と対策」について話した。
「中国人富裕層と呼ばれる人達は高学歴者が多い。観光業界、小売業界にはハイレベルの客層を迎え入れるという意識をもって欲しい」と提案した。具体的には、案内看板、パンフレット、ホームページなどで使われている中国語に間違いが多すぎると指摘。「〜するな」といった命令調の失礼な表現や、下品な言葉遣い、意味不明の表現を、日本を代表する大企業や観光地でも気づかずに使っている例が散見されるとした。「中国人なら誰でも翻訳ができると考えるのは間違い。正しい中国語はコンサルタントや記者出身者など言葉のプロにまかせるべき」とアドバイスした。
梶原文生・都市デザインシステム社長は「ホテル再生コンサルタントが語る 中国人観光客に人気のホテルとは」と題して講演した。中国人富裕層について「個人査証発給の参考基準とされている年収25万元以上の層は、日本人では年収1千万クラスになるが、中国ではその6割が30歳代」と解説。その上で「消費意欲が旺盛で、商品購入や旅行にはネット、クチコミ、友人知人の紹介など多次元に情報収集をして意思決定している層」とした。とくに「家電、アニメ、化粧品、ブランド品に関心が高く、日本には(中国と違って)偽物がないという安心感を持っている」と話した。
主に団体のインバウンド誘客のため同社がホテルに提案、実施した具体例も紹介した。大阪のホテルのリノベーションでは、13平方メートルのシングルルームをベッド2台のツインルームにした。また50平方メートルのツインルームにはリビングスペースに畳を入れて、3人分の布団を敷けるようにし、定員5人の客室にしたという。単価の安いインバウンドレートに対応しながらも平均客室単価と稼働率を向上させた成功事例として紹介した。
日中コミュニケーションの可越社長