東京五輪の延期が決まり、公式観戦ツアーを販売した五輪オフィシャルパートナーの旅行業3社も、商品の催行中止や再設定など対応を迫られている。
JTBは五輪チケット付きの公式観戦ツアーを催行中止とした。「新しい会場や競技日程が未定のため、新たなツアーの内容をどのようにできるのかまだ決まっていない」。
ツアーを予約している人への対応は「組織委員会等とも協議しながら検討を行い、具体的な競技日程等や対応方針が決まってから改めてお客さまに案内する」としている。
KNT―CTホールディングスは、4月上旬にグループ全体で会議を行い、今後の方針を決定する。
傘下の近畿日本ツーリストは「正式な開催期間や競技会場について確定していない状況であり、観戦ツアーの取り扱い等に関する対応につきましては、改めてお客さまにご案内申し上げます」、クラブツーリズムは「ご予約いただいている方の権利を守りながら今後の対応を検討いたします」とそれぞれホームページで案内している。
東武トップツアーズは「東京への招致活動以来、8年前からの取り組みとして、本年度を一つの頂点として計画を推進していただけに、1年の延期とはいえ、経営に及ぼす影響は図り知れない」と落胆を隠さない。
販売したツアーは「いったんは取り消しを通知し、返金を行う準備を開始している」という。ただ、「これまで全て“抽選方式”で販売してきたため、当選されたお客さまには延期後のツアースケジュールが決まった際には『優先的にご案内をする』旨をお伝えしている」。
「原則として、これまで発売した商品を再設定し、当選者の救済をしたい」と同社。ただ、「これまで発売してきたものと同一の日程が組める保証ができない現時点では、“当選を確約”との案内は行えず、優先的にとの表現にとどめている」と苦しい胸の内を明かす。
五輪の公式観戦ツアーを販売していない日本旅行は、「五輪期間中も通常の首都圏方面のツアーは販売している。ツアーに申し込みをされているお客さまが五輪目的なのか、通常の観光旅行なのかは分からないが、今後のお客さまの動向を注視したいと思う」と述べている。