デルタ航空は13日、2020年第3四半期の業績を発表した。
デルタ航空(NYSE:DAL)は、2020年9月を期末とする第3四半期の業績を発表しました。GAAP基準および調整済みの結果を含む、デルタ航空の2010年第3四半期の業績を記載します。概要は以下のとおりです。
デルタ航空の最高経営責任者、エド・バスティアン(Ed Bastian)は次のように述べています。「第3四半期の業績は、新型コロナウイルスが当社の事業に与えた影響の大きさを示していますが、旅行者は徐々に増えており、収益、業績、1日当たりのキャッシュバーンには改善の兆しが見えてきました。デルタ航空では現在、従業員に対するケア、保有機材の簡素化、カスタマーエクスペリエンスの向上、ブランド強化など、様々な施策を実施しています。これらにより、コロナ後の回復が加速するでしょう。」
2020年7~9月期の業績概要
- 調整済み税引前損失は26億ドルでした。これには新型コロナウイルスやデルタ航空の対応に直接関連する項目分の40億ドルは含まれていません。新型コロナウイルス関連費用には航空機などの再編費用、デルタ航空従業員の希望退職、早期退職プログラムに要する費用が含まれていますが、当四半期中に計上したCARES法の助成金で一部相殺されています。
- 座席供給量は前年比63%減少し、調整後収益は79%減の26億ドルとなりました。
- 営業経費合計には前述の新型コロナウイルス関連項目の40億ドルが含まれており、前年比で10億ドルの減少でした。これらの項目と精油所の第三者への売上による調整分を計上した第3四半期の営業経費合計は、座席供給量や売上関連の経費減少とコスト管理の強化により、前年比55億ドルの減少(52%減)でした。
- 当四半期末時点でデルタ航空は216億ドルの流動性を確保しています。
- 当四半期中のキャッシュバーンは1日平均で2400万ドル、9月は1日当たり1800万ドルでした。
収益環境
空の旅の需要が引き続き大幅に減少しているため、当四半期のデルタ航空の調整済み収益合計は前年同期比79%減の26億ドルでした。座席供給量は63%減となり、旅客収益は83%減少しました。チケット以外の収入は旅客収益と比べると好調で、ロイヤルティ収益が60%の減少、貨物が25%の減少にとどまりました。
デルタ航空の社長、グレン・ホーエンスタイン(Glen Hauenstein)は次のように述べています。「需要はゆっくりと、しかし着実に戻ってきています。新型コロナウイするの状況に応じて座席供給量を調整しつつ、需要に合わせて運航を拡大したいと考えています。収益環境が正常な状態に戻るにはまだ2年以上かかると思われますが、この時期にお客様に旅への安心感を取り戻していただき、デルタ航空への信頼感を築くことで、将来の持続可能な収益成長に向けた基盤を構築していきます。」
回復に向けた基盤作り
デルタ航空はコロナ後の回復を加速するため、下記のような施策を実施してきました。
従業員に対するケア
- 希望退職および早期退職プログラム、自主的な無給休暇、ジョブ・シェアリング、その他の取り組みによって、デルタ航空は空港職員や客室乗務員に対する強制的な一時帰休を回避しました。
- 従業員を新型コロナウイルスから守るため、「Stop the Spread. Save Lives.(感染防止によって命を守ろう)」キャンペーンを開始し、マスク着用、ソーシャルディスタンス、検査、インフルエンザの予防接種を含む6つの行動を推奨しています。米国の従業員には無料で新型コロナウイルスの検査とインフルエンザの予防接種を行っています。
カスタマーエクスペリエンスの向上
- 厳格な清掃手順、中央席のブロック、すべての航空機内でのマスク着用など、何層もの安全対策「デルタ・ケア・スタンダード(Delta CareStandard)」を導入し、衛生および安全性を強化しました。
- ほぼすべての国内線の変更手数料を免除し、スカイマイル会員の米国内特典旅行航空券の再デポジットまたは再発行手数料を免除することで、お客様の負担を軽減しました。
- 返金についてもお客様重視の方針に基づき、年初から合計約28億ドルを返金しました。
保有機材の簡素化
- 今後数年間の路線のニーズや財務状況と、航空機納品時期が見合うよう、エアバスとCRJ機の注文予約を見直しました。これによい、2020年中の航空機購入費を20億ドル以上削減し、2022年までに50億ドル以上削減します。
- 従来よりカスタマーエクスペリエンス向上とコスト削減を図るため、保有機材の近代化と合理化を進めていましたが、この計画を前倒しし、2025年までに400機近くを退役させ、このうち200機以上を2020年中に退役させると発表しました。
航空機の種類 | 航空機の数 | 退役予定の期末 |
MD-90 | 26 | 2020年6月 |
767-300ER | 7 | 2020年6月 |
A320 | 10 | 2020年6月 |
MD-88 | 47 | 2020年6月 |
737-700 | 10 | 2020年9月 |
777 | 18 | 2020年12月 |
CRJ-200 | 125 | 2023年12月 |
717 | 91 | 2025年12月 |
767-300ER | 49 | 2025年12月 |
合計 | 383 |
コストパフォーマンス
当四半期の調整済み営業経費合計は前年同期比で52%減、55億ドルの減少でした。これには従業員向けの希望退職や早期退職プログラム関連の費用31億ドル、航空機再編関連の費用22億ドル、CARES法による補助金13億ドルは含まれていません。営業経費の減少は、燃料費が78%、18億ドル分減少したこと、機材の駐機により保守費用が75%減少したこと、主要路線航空機の40%近くを退役させること、輸送量や売上関連の経費が減少したことによります。また、約18,000人の従業員が自主退職プログラムを選択したほか、自主的な無給休暇、作業時間の短縮、その他の取り組みにより、給与や福利厚生費用が32%減少しました。
当四半期中の営業外経費は前年同期比で3億4900万ドル増加しました。新型コロナウイルス感染拡大に伴う債務増によって金利負担が増え、2億2100万ドル計上したことが主な要因でした。
デルタ航空の最高財務責任者、ポール・ジェイコブソン(Paul Jacobson)は次のように述べています。「当四半期の業績は、コスト削減に注力したことによって下支えされました。第2四半期より座席供給量が23ポイント増加したにも関わらず、調整済み営業経費は第2四半期と同程度の50%以上の削減を達成することができました。コスト削減に注力したことにより、純売上の増加が1日当たりのキャッシュバーン減少にも直接貢献しました。6月は1日当たりの平均キャッシュバーンが2700万ドルでしたが、9月は1日当たり1800万ドルまで改善しました。」
バランスシート、キャッシュと流動性
第3四半期末の流動性は216億ドルでした。当四半期中の営業キャッシュフローは26億ドルでした。当四半期中のキャッシュバーンは1日当たり平均で2400万ドルですが、9月は1日当たり平均で1800万ドルとなりました。
第3四半期末時点における負債およびファイナンスリース借入金の合計は349億ドルでした。調整済み純負債額は170億ドルで、2019年12月31日と比べて65億ドル増加しました。9月にスカイマイル・プログラムを担保として、平均ブレンドレート4.75%で90億ドルを調達し、航空業界史上最大となる借入手続きを完了しました。さらに非課税債発行に関連してブレンドレート4.4%で15億ドルの追加借入も行いました。これはラ・ガーディア空港の改装プロジェクト費に充当する予定です。デルタ航空の総負債額の加重平均利息は、2020年9月30日時点で4.3%でした。
四半期終了直後に3月に借り入れた364日期限の30億ドルローンを返済し、航空機、エンジン、スペア部品の無担保資産額が90から100億ドルに増加しました。その結果、2021年末までの負債償却および償還は残り23億ドルに減少しました。デルタ航空は2020年3月にリボルビング与信枠から充当した26億ドルも返済しました。
第3四半期末の時点で、デルタ航空のエアー・トラフィック・ライアビリティは46億ドルでした。これには44億ドルの流動負債と2億ドルの非流動負債が含まれています。非流動負債は、利用期間が1年以上の未使用のチケットとトラベル・クレジットの現時点の予測分を表します。第3四半期末の時点では、トラベル・クレジットがエアー・トラフィック・ライアビリティの約60%を占めています。
CARES法の補助金計上、航空機再編、希望退職および早期退職プログラムに伴う費用
第3四半期中にデルタ航空はCARES法の給与サポートプログラム(PSP)に基づき、7億100万ドルの補助金を得ました。このうち4億9100万ドルが追加補助金で、2億1000万ドルは10年間の低金利無担保ローンです。当四半期の金額には、2020年4月にデルタ航空に割り当てられた初回の54億ドル以外に、増分の1億5700万ドルが含まれます。当四半期中に補助金のうちの約13億ドルを反対勘定として計上し、連結損益計算書では「CARES法による補助金計上」として記載しています。デルタ航空は残りのPSP補助金を2020年末までに利用する予定です。
当四半期中にデルタ航空は、717-200型機と残存している767-300ER型機を2025年までに、CRJ-200型機を2023年までに退役させることを決定しました。これに伴い、航空機関連の費用として22億ドルを計上し、連結損益計算書では「再編費用」として記載しています。
第3四半期中にデルタ航空は従業員向けに希望退職および早期退職プログラムを提供しました。約18,000人の従業員がプログラムを選択し、その大半が8月1日に退職しました。その結果、31億ドルの再編費用を当四半期中に計上し、連結損益計算書では「再編費用」として記載しています。これらのプログラムに関連する当四半期中の現金支払いは合計8億1300万ドルでした。この金額は1日当たりのキャッシュバーンからは除外しています。第4四半期中に追加で1億5000万ドル~2億5000万ドル、2021年中に6億ドル、2022年以降に残金の現金支払いが見込まれています。
2020年7~9月期の業績
第3四半期の業績は、主として前述したCARES法の補助金計上と再編費用に関連して調整されています。
GAAP | $増減 | % 増減 | ||||||
(株式データを除き単位は百万ドル) | 3Q20 | 3Q19 | ||||||
税引前(損失)/利益 | (6,859) | 1,947 | (8,806) | NM | ||||
純(損失)/利益 | (5,379) | 1,495 | (6,874) | NM | ||||
一株当たり希釈(損失)/利益 | (8.47) | 2.31 | (10.78) | NM | ||||
営業収益 | 3,062 | 12,560 | (9,498) | (76) | % | |||
営業経費 | 9,448 | 10,489 | (1,041) | (10) | % | |||
燃料費 | 486 | 2,239 | (1,753) | (78) | % | |||
営業外経費 | 473 | 124 | 349 | NM | ||||
負債とファイナンスリースの債務合計 | 34,870 | 10,119 | 24,751 | NM | ||||
有効座席マイル当たりの売上合計(TRASM) | 10.82 | 16.58 | (5.76) | (35) | % | |||
連結単位コスト(CASM) | 33.40 | 13.85 | 19.55 | NM | ||||
1ガロン当たりの平均燃料価格 | 1.25 | 1.94 | (0.69) | (36) | % |
調整済み | $増減 | % 増減 | ||||||
(株式データを除き単位は百万ドル) | 3Q20 | 3Q19 | ||||||
税引前(損失)/利益 | (2,589) | 1,968 | (4,557) | NM | ||||
純(損失)/利益 | (2,096) | 1,507 | (3,603) | NM | ||||
一株当たり希釈(損失)/利益 | (3.30) | 2.33 | (5.63) | NM | ||||
営業収益 | 2,645 | 12,507 | (9,861) | (79) | % | |||
営業経費 | 5,004 | 10,460 | (5,455) | (52) | % | |||
燃料費 | 489 | 2,257 | (1,768) | (78) | % | |||
営業外経費 | 230 | 79 | 151 | NM | ||||
調整済み純負債 | 17,012 | 10,265 | 6,747 | 66 | % | |||
有効座席マイル当たりの売上合計(TRASM、調整済み) | 9.35 | 16.51 | (7.16) | (43) | % | |||
連結単位コスト(CASM-Ex) | 15.96 | 10.15 | 5.81 | 57 | % | |||
1ガロン当たりの平均燃料価格 | 1.25 | 1.96 | (0.71) | (36) | % |