エコツーリズムやグリーンツーリズムなど、テーマ性や体験志向の強い新たな旅、いわゆる「ニューツーリズム」が関心を集めている。社会経済生産性本部が推計したところ、ニューツーリズムの消費規模は約9兆円で、潜在消費規模は約20兆円に達することが分かった。女性や60代で活発な参加が見られ、潜在的なニーズも高いことから、「顧客志向の対応を進めることにより、現在の観光・余暇の閉そく状況の突破口が開かれることが期待される」と同本部は指摘する。
同本部発行の「レジャー白書2007」は、特別レポートでニューツーリズムを取り上げ、現況や市場の将来性などを分析した。
「新たな旅」の旅行形態の特徴は、日帰り旅行では「スポーツ観戦」や「季節の花を訪ねる」など手軽な鑑賞系の旅のほか、「モノ作りの現場を訪ねる」(産業観光)などが高い比率となった。
国内宿泊旅行では温泉入浴など「癒しの旅」で約8割。「アウトドア体験を楽しむ旅」「地域の食文化を楽しむ旅」などにも関心を寄せている。
潜在需要を見ると、ブームとなっている「世界遺産を訪ねる旅」がもっともポイントが高い。またエコツーリズムと関係する「大自然の魅力を味わう旅」や、ヘルスツーリズムと関係する「癒しの旅」「病気回復、健康維持・増進の旅」なども潜在需要が大きい。
レポートは新たな旅の消費規模(参加人口×年間平均費用)も推計。それによると、全体規模は国内旅行計で約8兆円、海外旅行の国内消費分を含めると約9兆円になった。「国交省推計による現在の旅行消費規模24.4兆円と比較しても、新たな旅は既に3分の1程度の規模になっている」という。
また、今後、どの程度規模が伸びるかを推計したところ、国内旅行計で約18兆円、海外旅行の国内消費分を含めると約20兆円に達することが明らかになった。
新たな旅の魅力をどう高め、いかに定着させていくかが課題だが、レポートは(1)人材(2)資源(3)旅行商品(4)情報──の4つの視点から提案をとりまとめた。
このうち、(3)については「取り上げるテーマに対応するマーケットの深掘りや属性別のライフスタイルの把握が不可欠。顧客の志向に合わせたきめ細かなテーマ設定や、観光資源とのマッチングの仕組みを検討していくことが求められる」とした。
また、新たな旅を支えるインフラ整備では、調査結果から「テーマに沿ったルートマップやガイド」の充実を求める消費者の声が強いことが分かった。