ノロウイルスによる感染性胃腸炎の患者が急増している。厚生労働省によると、2006年に次いで、過去10年間で2番目に多い数で推移している。年間の食中毒患者数の約半数がノロウイルスによるものといわれ、うち7割は11月から2月の冬季に発生している。同省は11月27日付で、都道府県などの衛生主管部局に対し、予防対策の普及に一層努めるよう書面で連絡。食品を扱う事業者などに向けた予防のポイントを紹介するリーフレットも作成した。
国立感染症研究所がこのほど発表した感染性胃腸炎の患者数は、11月12〜18日で1医療機関当たり平均(全国約3千の小児科の平均)11.39人。過去10年間の同時期では、2006年の16.42人に次いで、2番目に多い。
厚生労働省は、ノロウイルス食中毒の発生原因として、調理従事者を介したものが主だとして、ノロウイルス食中毒予防に関する要点をまとめたリーフレットを作成。都道府県などに注意喚起するよう呼び掛けている。
リーフレットによると、ノロウイルスによる食中毒予防のポイントは(1)調理する人の健康管理(2)作業前などの手洗い(3)調理器具の消毒—の3点。
健康管理では、「普段から感染しないように食べものや家族の健康状態に注意する」「症状がある時は、食品を直接取り扱う作業をしない」「症状がある時に、すぐに責任者に報告する仕組みをつくる」。
手洗いでは、「トイレに入った後」「調理施設に入る前」「料理の盛り付けの前」「次の調理作業に入る前」を洗うタイミングとし、「指先、指の間、爪の間」「親指の周り」「手首」など、汚れの残りやすいところをていねいに洗うとしている。
調理器具の消毒に関しては、塩素消毒と熱湯消毒の二つの方法をあげている。塩素消毒は「洗剤などで十分に洗浄し、塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸しながら拭く」、熱湯消毒は「85度以上の熱湯で1分間以上加熱する」としている。
万一、感染者が出た場合、感染を広げないためのポイントもあげている。
食品、食器などに関しては「感染者が使ったり、おう吐物が付いたものは、他のものと分けて洗浄、消毒する」「食器等は食後すぐ、厨房に戻す前に塩素液に十分浸し、消毒する」、おう吐物の処理は「ペーパータオル等で静かに拭き取り、塩素消毒後、水拭きをする」「拭き取ったおう吐物や手袋などは、ビニール袋に密閉して廃棄する。その際、できればビニール袋の中で千ppmの塩素液に浸す」などをあげている。