国家検定試験「ホテル・マネジメント技能検定試験」を運営する日本宿泊産業マネジメント技能協会(JLM、作古貞義理事長)は17日、第5回無料オンライン・マネジメント講座「ホテル業界における職業能力評価制度~『職業能力評価基準』を中心に~」を実施した。中央職業能力開発協会(JAVADA)能力開発支援部教育訓練支援課長の高久訓一氏が講師を務めた。
JAVADAは、1979年に職業能力開発促進法に基づいて設立された組織で、厚生労働省人材開発統括官の所管。職業能力の専門機関として「能力評価・キャリア経営支援を通じた職業キャリアの持続的発展」に寄与するための活動を行っている。ものづくり基盤強化のための「技能五輪全国大会」「技能検定」の実施は、その活動の中でも特に有名。
技能検定は、働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度。ものづくりを中心に111の職種についてJAVADAが試験問題を作成し、都道府県職業能力開発協会が検定を実施している。
「ホテル・マネジメント」職種については、指定試験機関(民間機関)である日本宿泊産業マネジメント技能協会が、ホテル・マネジメント技能検定を2019年度から実施している。
宿泊業の「職業能力評価基準」は、ホテル業が04年9月、旅館業が10年12月に完成。厚労省のホームページで「職業能力評価シート」と合わせて無料公開されている。
21年のホテル・マネジメント技能検定試験は、学科試験を9月12日、実技試験を12月5日に実施する。学科試験の申し込み期間は6月30日までとなっている。
高久氏は、社会基盤としての職業能力評価基準整備の目的について「内部・外部労働市場で活用できるよう幅広い職種を対象として汎用性のある業界横断的な職業能力評価基準を策定することで、『能力が見える』社会の実現につながる」と強調。その上で、職業能力評価基準の企業側のメリットとして(1)従業員に求める能力要件を具体的に示すことができる(2)従業員が納得できる公正かつ客観的な人事評価制度を構築できる(3)従業員の能力を客観的に把握し効果的に人材育成を行うことができる―を挙げた。一方、労働者側のメリットについては(1)自身の能力を客観的に把握できる(2)どのように仕事をすれば評価されるのか具体的に知ることができる(3)キャリア形成の目標・指針に活用できる―とした。