帝国データバンクによると、ホテル運営のホテルニューヒロデン(広島市中区)は6月2日に広島地裁から特別清算開始命令を受けた。
同社は、1973年2月に設立されたホテルの運営業者。広島電鉄が100%出資する子会社として、74年9月に「ホテルニューヒロデン」を広島市南区大須賀町に開業した。地上13階、地下1階建て、256室の客室のほか宴会場や結婚式場、レストランを備え、JR広島駅南口から徒歩3分程度と立地条件に恵まれていた。他県からの観光客や出張客を中心に利用客数を伸ばし、95年5月期には年収入高約15億2200万円を計上していた。
しかし、近年は近隣エリアにホテルの新設が相次いで競合が増す中、建物の老朽化もあり集客の減少が続き、2020年3月期の年収入高は約9億3900万円にまで落ち込み、約4300万円の経常損失を計上していた。近年は訪日外国人からの利用が伸びていたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で観光需要が消失し、客室稼働率が大幅に低下していた。この間、事業継続に向けた耐震改修工事も検討してきたが、長引くコロナ禍で多額の投資に見合う収益は見込めないと判断し、今年3月31日開催の株主総会の決議により解散して整理を進めていた。
負債は約2億6700万円。
広島県内の新型コロナウイルス関連倒産は41件目で、中国地方では80件目となる。