日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館業、飲食業など生活衛生関係営業の事業承継に関するアンケート調査を行った。ホテル・旅館で「事業を承継させたい」とする企業は54.9%と半数超で、「承継させるつもりはない」は12.6%と約1割だった。承継の意思がある企業のうち、約半数は後継者が決まっており、そのほとんどが「子ども」。事業承継をしない理由は「後継者またはその候補がいない」が約半数だった。
事業承継の意思がある企業割合は生活衛生9業種のうち、ホテル・旅館が最も高かった。50%超えはほかに食肉・食鳥肉販売業(51.0%)のみだった。
ホテル・旅館はこのほか、承継の意思がない企業が約1割。「現時点では考えていない」が32.6%だった。
承継の意思があるホテル・旅館のうち、後継者が決まっている企業は51.0%と約半数。このほか「後継者は未定だが、候補者はいる」が32.3%。「後継者は未定で、候補者もいない」が16.7%。
現在の経営者と後継者または後継候補者との関係は、ホテル・旅館で「子ども」が90.0%を占めた。このほか「子ども以外の親族」が3.8%、「親族以外の役員・従業員」が6.3%。「社外の第三者」はなかった。
事業承継の意思がないホテル・旅館に、その理由を聞くと(複数回答)、「後継者または後継候補者がいない」が55.0%と最も多かった。以下は「事業の先行きに不安がある」40.0%、「現在の業績が悪い」25.0%、「承継をするほどの価値を感じない」20.0%、「当初から自分の代でやめようと考えていた」15.0%、「後継候補者の心当たりはあるが、能力の面で不安がある」10.0%―など。
「第三者から事業の承継をしたいと打診があった場合の意向」は、ホテル・旅館は「現時点では分からない」が59.1%と最も多く、「事業の承継はしたくない」が22.7%、「前向きに事業の承継を検討する」が13.6%、「事業の承継を検討してもよい」が4.5%と続いた。ただ、同設問の回答はサンプル数が少ない参考値としている。
調査は昨年9月上旬、「生活衛生営業の景気動向等調査」(7~9月期)の特別調査として実施。ホテル・旅館は175企業が回答した。